【オークス(G1)】ステレンボッシュ1強に“待った”!? ルメール×チェルヴィニア「前走の二の舞いはない」川田×クイーンズウォーク「本領発揮」武豊×スウィープフィート「チャンスがある」二冠阻止に燃えるライバルが虎視眈々
オークス直前、現場からの生情報
19日、東京競馬場の芝2400mを舞台に3歳最強女王決定戦オークス(G1)が行われる。過去10年を振り返ると、1番人気が[6.2.0.2]と勝率60%、連対率、複勝率ともに80%。1番人気の信頼度が高い1戦となっている。
今年、その1番人気に予想されているのは、桜花賞馬ステレンボッシュ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。ライバルであった桜花賞(G1)2着のアスコリピチェーノがNHKマイルC(G1)に向かったこともあり、実質1強状態と見られている。
桜花賞後はリフレッシュのため放牧に出されたが、オークスに合わせて帰厩した。管理する国枝師は「元々、オークス向きと思っていた」と明かし、「折り合いも付くタイプなので2400mの距離も問題はありません。ここも期待しています」と自信をのぞかせている。
今回は、J.モレイラ騎手から戸崎圭太騎手へ乗り替わり。戸崎騎手はテン乗りとなるが、稽古で騎乗しており、上々の動きを見せている。実績こそトップクラスの戸崎騎手だが、東京2400mのG1では勝利はなく、2着が5回。惜しい競馬が続いているだけに、今回のチャンスを是が非でもものにしたいと考えるのは当然だ。いつも以上に気合いが入っているだろう。
■ステレンボッシュの牙城を崩したいライバルたち
二冠達成に向けて視界良好といったステレンボッシュ。だがライバルたちも、ただ指を咥えて眺めているわけにはいかない。二冠阻止の最右翼はチェルヴィニア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。
桜花賞は13着と大敗。だが、体調が整わないとして昨年末の阪神ジュベナイルF(G1)を回避したため、半年ぶりの参戦だった。さらに主戦のC.ルメール騎手が騎乗する予定だったものの落馬負傷したため、B.ムルザバエフ騎手へ乗り替わり。加えて大外8枠18番枠を引き当てるなど、不安要素がいくつも重なった上での敗戦。決して力負けではないと関係者も力強く語る。
「結果論となってしまいますが、桜花賞は仕上がりが甘かった。ですが、今回は違います。見栄えこそ良くないものの、しっかりと攻めているようで、動きの質や息の入れ方が良くなっています。前走の二の舞いはないでしょう。
『東京替わりや距離延長は歓迎』と陣営も明かしていました。そして、ルメール騎手が乗ってくれるのは、なによりも好材料です。ずっと期待してきたので何とか巻き返したいですね」(美浦関係者A)
先週のヴィクトリアマイル(G1)で2着するなど、いよいよエンジンが掛かってきたルメール騎手。チェルヴィニアの復活と共に反撃の狼煙を上げたい。
ライトバック(牝3歳、栗東・茶木太樹厩舎)は、桜花賞で7番人気ながら3着に食い込んだことで大きく評価を上げた。
前走、道中は控えて最後方から追走。最後の直線で外から上がり最速32.8秒の末脚を繰り出すと、猛然と先を行くライバルを交わし、勝ち馬に0.1秒差まで迫っていた。
「桜花賞はすごい脚を使ってくれました。やはり瞬発力には目を見張るモノがあります。中間も順調で落ち着いていますから、良い状態で出走できそうです。道中、折り合いがつけば距離もこなせるでしょう」(栗東関係者A)
鞍上は引き続き坂井瑠星騎手が務める。桜花賞後、坂井騎手は「テンションの面でまだ課題は残る」と明かすも、「力のある馬ということは示せたと思います」と力強く語った。非凡な決め手を持つライトバックが、今回もゴール前の直線で最後方からライバルたちに襲いかかるシーンが目に浮かぶ。
オークスで3年連続連対を果たしているクイーンC組。今年の同レース勝ち馬クイーンズウォーク(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)は、早くから狙っていた1戦で本領を発揮したい。
桜花賞は8着に終わった。だが主戦の川田将雅騎手はデビュー前から同馬が「オークス向き」と話し、陣営も早くから「大本命はオークス」とここに照準を合わせてレースを重ねてきた。
「クイーンC(G3)から『先を見越した競馬』、つまりオークスを意識した競馬をしていましたね。
桜花賞は比較的速い流れで進みましたし、外が伸びやすい馬場だったのに内枠に入ってしまったのが痛かった。のびのび走ることができず、リズムに乗ることもできなかったです。
1週前に川田騎手が乗って追い切ってくれたので、これまでよりも良くなっています。体のバランスも整ってきましたし、条件が好転する今回は勝負の場だと思っています」(栗東関係者B)
川田騎手×中内田師のタッグは、昨年のオークスをリバティアイランドで制覇。クイーンズウォークが勝てば、史上3組目の同一調教師&騎手のオークス連覇となる。これまでも勝利を重ねていた名タッグは、またひとつ歴史に名を残すことができるだろうか?
こう自身のHPの日記に綴った武豊騎手。先週、JRA通算4500勝を達成し、記録にも記憶にも残る名手はスウィープフィート(牝3歳、栗東・庄野靖志厩舎)でG1勝利を目指す。
桜花賞では後方待機から、最後の直線で末脚勝負に出た。だが、外から一度内に切れ込もうとするも馬群に阻まれてしまい、再度進路を外に切り替えることに。このロスも響いたか、最後まで伸びたものの4着に終わっていた。
「ラストの脚はすごく良かった。決め手は引けを取っていなかったと思います。今回はキャリア初となる左回り、さらに距離延長など気になる点はあります。
ですが、馬体とともに気性面にも成長が見え、操作性はグンと良くなっています。直線の長い東京は脚質的にも合うでしょう。乗るのは武豊騎手なので折り合いについても問題はないと考えています。スムーズに運んでもらえれば、チャンスはありますよ」(栗東関係者C)
武豊騎手はエアグルーヴで勝った1996年を最後にオークス優勝とは縁がない。自身も「チャンスがある」と語る相棒スウィープフィートで、28年振りに勝利の美酒に酔うことができるかが注目される。
果たしてステレンボッシュの牝馬二冠達成はなるのか。それともライバルがそれを阻むのか。15時40分の発走を楽しみに待ちたい。