安藤勝己氏も称賛「展開の読み」ズバリ!岩田康誠、半年ぶり重賞Vに“控えめ”ガッツポーズ…函館記念(G3)圧勝劇に「もっと大きい舞台に行ける」
14日の函館競馬で19年ぶりの記録が生まれた。
メイン11Rに行われたハンデ戦の函館記念(G3)は、フルゲート16頭による一戦。どの馬が勝ってもおかしくない混戦模様を制したのは、3番人気のホウオウビスケッツ(牡4歳、美浦・奥村武厩舎)だった。
レースは伏兵14番人気のアウスヴァールがハナを主張。最初のコーナーまでに先頭に立つと、その直後の2番手にホウオウビスケッツと岩田康誠騎手が収まった。
3ハロン目から12秒0前後のラップが続くよどみのない流れ。岩田康騎手とホウオウビスケッツは、逃げ馬から3~4馬身離れた2番手でピタリと折り合った。
3コーナーを過ぎたあたりでアウスヴァール鞍上の古川吉洋騎手が早めスパートを仕掛け、後続との差を広げにかかるが、岩田康騎手は落ち着きはらっていた。
無理に追いかけることはせず、ワンテンポ、ツーテンポ遅れてゴーサインを送ると、直線入り口で早くも先頭に並びかける絶好の手応え。粘るアウスヴァールを残り200m付近で交わし去ると、最後は中団から追い込んだグランディアに3馬身半の差をつけ、先頭でゴール板を駆け抜けた。
「いやー、強かったですね。巴賞(OP)の上位組は函館記念で苦戦中という嫌なデータがありましたが、全く関係ありませんでしたね。巴賞→函館記念を連勝した馬は、2005年エリモハリアー以来、19年ぶりだったようです。
12番枠というやや外目の枠だったので、難しい競馬になるだろうと軽視していましたが……。岩田康騎手がうまくインの2番手を確保。その時点で鞍上の作戦勝ちだったといえそうです」(競馬記者)
記者の言うように、ホウオウビスケッツの位置取りは鞍上の狙い通りだったようだ。
「今回は1頭行く馬がいるのがわかっていたので、その後ろと決めていました」
レース後の勝利騎手インタビューで岩田康騎手がそう話したように、2番手追走は筋書き通り。「最終日ですけど、本当に馬場が良くて、走りやすい馬場でセーフティーリード、後ろに脚を使わせてレースができたのが良かったと思います」と勝因も付け加えた。
安藤勝己氏も称賛「展開の読み」ズバリ!
そんな岩田康騎手の騎乗を称賛したのが、元JRA騎手の安藤勝己氏だ。
安藤氏は自身のXに「賞金加算すべく逃げた後で簡単なレースじゃなかったはずやけど、展開の読みとデキの良さでカバーした」とポスト。「2000m勝ったことで選択肢も増えたし、陣営にとって会心の重賞制覇」と、今後に向けて楽しみが広がったという見解も付け足した。
岩田康騎手にとって重賞勝利は、今年1月の京都金杯(G3)以来、半年ぶり。今年は騎乗数こそ減少傾向だが、函館記念の勝利が今年の22勝目。昨年の25勝にあと3勝まで迫っている。1日2~3鞍という日も珍しくないが、函館の最終週は計12鞍に騎乗し3勝と大きな爪痕を残した。
「皐月賞(G1)、ダービーでそこそこ来ていたので、いい馬だというのはありますし、もっと大きい舞台に行ける馬じゃないかと。依頼いただいて感謝しかないです」
陣営に対する感謝とともに、昨年の日本ダービー(G1)で0秒2差6着という実績もあるホウオウビスケッツのポテンシャルに言及した岩田康騎手。ゴール直後には、やや控えめに左手こぶしを握り締めたが、これは大きなステージで渾身のガッツポーズを見せるための予行だったに違いない。