武豊が米クラシック第2戦となるプリークネスS(G1)に挑戦!ケンタッキーダービーから大きな前進が見込める「3つ」の理由
だが、道中で脚が溜まればケンタッキーダービーよりも早めにポジションを上げることで、前を射程圏に入れられる可能性はある。
そして何より大きい2つ目は、プリークネスSの出走頭数がケンタッキーダービーの20頭と比べて約半分の11、12頭に落ち着きそうなことだ。
これはアメリカの三冠レースとなるケンタッキーダービー・プリークネスS・ベルモントSが、僅か1カ月あまりの短期間で行われることが要因である。
ケンタッキーダービーを走ってとても上位馬に敵いそうにない馬は、プリークネスSをパスして、最終戦のベルモントSに向けてコンディションを整えるのが主流になっている。実際に松永幹夫調教師を始めとしたラニの陣営も、当時はプリークネスSをパスする予定だった。
出走する頭数が減るということは、どうやっても後方からの競馬になりそうなラニにとっては非常に好都合だ。捌く頭数が減る分、距離のロスを抑えることができるし、単純に上位に進出する上でもライバルが減るのはメリットでしかない。
3つ目は今のところケンタッキーダービー組でプリークネスSに出走しそうなのは、ナイキストとエグザジャレイターだけで、あとは別路線組になりそうなことだ。
その別路線組にしても、大半はケンタッキーダービーの出走を争うポイントレースで敗れた馬たちで「ケンタッキーダービーに出たくとも出られなかった馬」が大半。目立つのは前走ブルーグラスS(G1)で3着と4着だった馬程度だ。
それらにしても、ラニはケンタッキーダービーでブルーグラスSを勝ったブロディーズコーズには約2馬身差遅れただけで、2着だったマイマンサムには先着している。つまり、別路線組とも互角以上の戦いができるはずということだ。
無論、ケンタッキーダービーで大きく離されたナイキストやエグザジャレイターが出走してくる以上、勝ち負けは難しいかもしれない。だが、初戦の9着という結果からは大きな前進が見込める今週末のプリークネスS。
武豊騎手を始め、陣営は早くから「最もチャンスが大きいのは、ベルモントS」とコメントしているだけに、ここはクラシック最終戦につながる走りを見せてほしいところだ。
(文=浅井宗次郎)