「強すぎ」ワグネリアンが”超絶鬼脚”で2勝目! シルバーステートの「悲劇」から2年……福永祐一騎手は今度こそ日本ダービーに手が届くのか
「仕方がありません。相手が強すぎました……」
そう白旗を上げざるを得なかったのは、ディロスに騎乗していたC.ルメール騎手だ。このステイゴールド産駒はデビュー戦を快勝し、この日も最後の直線で鞍上の激に応えてしっかりと先頭集団を捉えた。しかしその直後、さらに外から1頭だけまったく次元の異なる脚色にあっさりと飲み込まれてしまった。
単勝1.9倍に推されていたワグネリアン(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
16日に雨の阪神競馬場で行われた野路菊S(OP)。重馬場発表の中、外回りコースの芝1800mが9頭によって争われたが、最大の注目はデビュー戦で驚愕の上がり3ハロン32.6秒で差し切ったワグネリアンに注がれた。
その”鬼脚”は、実力は本物なのか――。
大きな出遅れもなく、まずまず揃ったスタートで幕を開けた野路菊S。ワグネリアンは無理せず後方へ。結果的に3着に逃げ粘ることになるシンデレラメイクが飛ばし気味に主導権を奪い、それを同じくピンクの帽子のスワーヴポルトスが追走。馬群は縦長の展開となった。
1000m通過は62.7秒。一昨年が59.8秒で流れており、縦長の展開の割にはスローペースといえる。あえて重馬場をあまり考慮しない理由は後述するが、少なくともデビュー戦の1000m通過が67秒という超スローだったワグネリアンからすれば、問題なくついていけたことは収穫だ。
しかし、これで肝心の末脚が鈍っては意味がない。だが、無用の心配だった。やや馬群が凝縮されて最後の直線に入ったが、ワグネリアンはまだ後方から3番手という位置。鞍上の福永祐一騎手が追い出しに入るが、やや反応が鈍い。しかし、焦ることなく、今度は見せムチを行っている。この辺りは先々を見据えた競馬をする福永騎手らしい配慮だ。
ただ、それでもワグネリアンに然したる変化は見られなかった。仕方がないので、ここで右ムチが飛ぶ。2発目が入ったところで、ようやく行く気になったようだ。外に持ち出されると一気に加速し、ゴール前でもうひと伸び。あっさりと先頭集団を交わし切り、最後は2馬身半差をつけてゴールした。