最強キタサンブラック「凱旋門賞で見たかった」の声が殺到!盟友サトノクラウンとの「夢のタッグ挑戦」が消え、ファン悶絶……
2017年10月29日の天皇賞・秋(G1)は、強い馬同士が死力を尽くした競馬史に残る激戦となった。
525.9mに渡る東京競馬場の最後の直線が、いつも以上に長く感じられた。なりふり構わない勝負に出た関東次代のエース田辺裕信騎手とグレーターロンドンが先頭に立ったところを、キタサンブラックが力でねじ伏せるように先頭に躍り出る。
土砂降りの雨と5万人を超える大歓声が入り混じる中、雨を切り裂くように水飛沫を上げ、力強く突き進むキタサンブラック。武豊騎手の渾身のゲキに応え、必死にゴールを目指すが、レースはまだ400m以上残されていた。
そこに襲い掛かったのが、M.デムーロ騎手とサトノクラウンだ。デムーロ騎手の日本人騎手には真似できない豪快なアクションに応えるようにサトノクラウンが脚を伸ばすと、何度も先頭を走るキタサンブラックに並び掛けようと気力を振り絞った。
キタサンブラックは今年一杯での引退、種牡馬入りを発表。一方のサトノクラウンは連覇の懸かる香港ヴァーズに登録しており、春古馬3冠を分け合った両雄にとって、おそらくはこれが「最後の決戦」になる可能性があった。
だからこそ、サトノクラウンにとっても負けられない戦いだった。同世代の有望株として皐月賞から、しのぎを削ってきた間柄。何度も何度も戦い、交わりながらお互いが”頂点”を目指してきた。そんな盟友であり、最大のライバルとの最後になるかもしれない決戦に、自分にとって有利となるであろう「雨」が降っている。
デムーロ騎手がレース後に「馬場は得意ではないが、よく盛り返した」と話した通り、今回の雨はすでにサトノクラウンの重馬場適性を超越した特殊な状況だったのかもしれない。だが、それでも本馬にとっては、ここでキタサンブラックに後れを取るわけにはいかなかったはずだ。