キタサンブラックはディープインパクトを超える? その強さが浮かび上がらせた「2頭」の優駿
29日の天皇賞・秋(G1)は、出遅れながらも最内を強襲したキタサンブラックが、食い下がるサトノクラウンをクビ差凌いで優勝。G1競走6勝目を飾った。
これで天皇賞は春秋合わせて3勝目。歴代でもテイエムオペラオーと同馬しか達成していない偉業だ。JRA賞金も14億9796万1000円で、テイエムオペラオーの18億3518万9000円に次ぐ単独2位に浮上した。3位は14億5455万1000円のディープインパクト。
賞金だけでなく、今年キタサンブラックはレースにおいても「ディープ超え」を果たしている。春の天皇賞で記録した3:12.5は、ディープインパクトの「不滅」といわれたレコードを破るものだった。
さらに、今回の天皇賞では「出遅れ」をし、キタサンブラックは中団からのレースを強いられている。その時点で取り乱さず、馬場の悪いインコースを通っても消耗しないと信じ、徐々に押し上げ直線で先頭に「ワープ」させた武豊騎手の手腕は見事だったが、やはりキタサンブラック自身の圧倒的なポテンシャルがなせる業だろう。
出遅れからの圧勝といえば、ディープインパクトもそんな馬だった。皐月賞、日本ダービー、翌年の天皇賞・春では明らかな出遅れを見せながらも、最後の直線では他馬をごぼう抜きにし、その姿が競馬ファンを虜にした。
キタサンブラックの今回の天皇賞は、「出遅れ」から「いつの間にか先頭」、そして勝利、と、競馬ファンに多くのサプライズをもたらした。歴史的不良馬場で歴代最低タイムでの勝利は、いかに過酷なレースだったかの証明で、それはつまり、キタサンブラックが改めて「現役最強」を高らかに宣言したとも解釈できる。どんな場面でも最高のパフォーマンスができるディープインパクトと、数字の面以外でも被る姿があった。