JRA岩田康誠騎手「地獄」スランプを語る。重賞勝ち「13」→「0」に終わった2016年を振り返るも「感覚派」の”珍回答”に呆然?
また、そんな凋落と相まって本格的に批判され始めたのが、俗に「お尻トントン」といわれる岩田騎手独自の騎乗フォームだ。
当初は岩田騎手がこの独特な騎乗フォームで大きなレースを勝ちまくっていたこともあって、他の騎手の間でも大流行。一時は幸英明騎手や川田騎手、蛯名正義騎手などトップジョッキーも真似するほど競馬界全体に大きな影響を与えていた。
ところが引退した藤田伸二元騎手や、横山典弘騎手といった確かな実績を持つ名手が、この騎乗法を「馬の背中を痛める」などと指摘。各所で批判的な意見を述べる関係者が現れると、岩田騎手自身もこのフォームを控えるようになり、ブームはわずか1年程度で去ってしまった。
「(スランプの)原因はよく分かりません。特に騎乗方法を大きく変えたわけでも、自分の気持ちに大きな変化があったわけでもないんです。ただ、そういう流れだったのかな、としか……」
なんとも”感覚派”の岩田騎手らしい答えではある。ただ、人間誰しも自分の身に降りかかったことはなかなか把握しにくいものだが、岩田騎手ほどの名手があれだけのスランプに陥ったことに「まったく原因がない」ということは考え難いだろう。
今年は重賞7勝を上げ、有馬記念にも参戦するなど調子を戻しつつある岩田騎手。だが、かつて競馬界を席巻した全盛期の復活には、まだまだ険しい道のりが待っていそうだ。