皐月賞(G1)ステルヴィオが示した「進化」の軌跡。関東リーディングトレーナーが語った「不安」とスプリングS(G2)を勝ち切った意味
「皐月賞の共同記者会見でダノンプレミアムの回避について聞かれた木村調教師は、本当に残念そうでしたね。ステルヴィオが唯一敗れている王者に対するリスペクトもあると思いますが、同時に3歳馬となって『進化』した管理馬で再度戦ってみたいという思いもあったのではないでしょうか」(競馬記者)
記者の言うステルヴィオの「進化」とは、やはり前走のスプリングSでルメール騎手が語った、ある程度「ポジションを取りに行ける」ようになったことだろう。
サウジアラビアRCの東京や、朝日杯FSの阪神外回りコースと比較すれば、皐月賞は明らかに最後の直線が短くなる中山競馬場で行われる。前走のスプリングSで経験した各馬がなだれ込むようなレース展開も珍しくなく、そうなると後方一気の一辺倒では極めて苦しくなる。
実際に過去10年の皐月賞の勝ち馬を振り返ってみても、東京で勝ったオルフェーヴルを除くと4コーナーでの位置取りが10番手以下だったのは、極端なハイペースとなった2016年のディーマジェスティのみ。「異次元の末脚」と称されたドゥラメンテでさえ、4コーナーでは7番手まで進出していた。
そういった意味でもステルヴィオが、前走のスプリングSで中団からレースを運べた意味は非常に大きい。本番でも当然、前を意識した位置取りが望ましいことは述べるまでもないだろう。
ただその点で、木村調教師の「スプリングSの時は、わりと良いスタートが切れて最初のコーナーに入る時からリズムに乗れていたけど、それが2回連続してできるという自信が僕自身ない」という言葉は気になる指摘だ。
「木村調教師は普段から慎重な発言をされる方なので、個人的にはそこまで心配していませんね。むしろ、(最後の直線の)坂の途中から発馬する中山1800mで、スタートダッシュがついたことは大きいと思っています。
サウジアラビアRC、朝日杯FSとどちらも後方からの競馬になっていますが、ゲートで出遅れているわけではないんです。ここまで出遅れが一度もないように、むしろゲートは安定しているタイプ。本番でも極端にペースが速くならなければ、ある程度の位置が取れるのではないでしょうか」(同)