JRA「最強」エルコンドルパサーのNHKマイルC(G1)制覇を振り返る。あの「怪物」と戦えば……
デビュー時からスタートが悪かったエルコンドルパサーも、ゲートを勢いよく飛び出していく。スタートは上々。的場は焦ることなく中団の前目で競馬をする。
先頭12番アマロ、8番トキオパーフェクト、6番エルウェーサージュの先行勢に追いついた的場のエルコンドルパサーは外から順調に上がっていく。だが、コーナーから直線向くところで誤算が生じた。
エルコンドルパサーが外に膨らみすぎて的場が手綱で修正するロスが生じる。馬も踏ん張る力を使ってしまったため「ゴール前に馬が参ってしまうかもしれない」と的場騎手は思ったという。
しかし、そのまま直線へ向くと2番人気のトキオパーフェクトの横に馬体をつける。そして残り800mから的場騎手がムチを入れて追い出しにかかる。エルコンドルはそれに応えてジリジリと加速していき、トキオを置き去りにしインで逃げ粘るアマロも抜き去る。最後に2着になったシンコウエドワードの追撃も振り切り、タイム1分33秒7という稍重としては優秀なタイムを記録してゴールインしてみせた。
「マル外最強馬決定戦」を制し、秋にはジャパンCも勝利したことで関係者もファンも誰もが「海外への夢」を抱いたに違いない。
この年のNHKマイルカップは、デビュー4連勝で朝日杯3歳S(G1)も制した怪物グラスワンダーが骨折休養し、エルコンドルパサーとの対決が叶わなかった。後に毎日王冠で戦うことにはなったが「あの時対決していたらどうなっていたか」は一つの語り草ではある。