【徹底考察】宝塚記念(G1) ラブリーデイ「最優秀4歳上牡馬はもう終わったのか。昨年の覇者が不振を脱出する『鍵』は確実に存在する」
【血統診断】
近親の目立った活躍馬は秋華賞4着のクーデグレイスがいる程度で、特に目立つ活躍馬はいない。キングカメハメハ×ダンスインザダークの配合も活躍馬は桜花賞4着のショウリュウムーンくらいのもの。強いて挙げれば、ショウリュウムーンが阪神の重賞を2勝していることが心強い程度か。しかし、母系に目をやるとダンスインザダーク×トニービン×リアルシャダイ×ノーザンテーストと日本競馬を支えてきた一線級の種牡馬がずらりと並ぶ。大物馬主の金子真人氏がこの血統の馬を抑えているのも、そこが強みなのだろう。言い換えれば、本馬のような大物が出現する下地があったということだ。母系はスタミナ十分で、血統だけを見れば本馬が昨年、阪神大賞典を惨敗しても天皇賞・春に出走した気持ちは理解できる。ただ、父キングカメハメハの産駒は母系がスタミナ豊富な血統で、ようやく中長距離をこなせる産駒が出るようだ。自身はダービー馬だが、本質的にはスピード型の種牡馬である。昨年の覇者に、舞台設定の注文はない。
≪結論≫
『考察』で述べた通り「前目の好位から、出走メンバーの中でも優秀な末脚(1位~4位)を繰り出すこと」。これがラブリーデイの必勝パターンだ(今年の宝塚記念が高確率でスローになるのでここでは詳しく書かないが、ただしスローペースに限ると追記しておく)。
何よりも重要なのは、道中、そして直線入り口でのポジショニングであり、前をある程度の射程圏に捉えていることが必須だといえる。
これは大阪杯と同じく、キタサンブラックが逃げることが濃厚な今回もまずスローペースに落ち着くことが濃厚で、末脚勝負に限界のあるラブリーデイにとってポジション取りが最も重要になるのは間違いないだろう。言い換えれば、もしも今回の宝塚記念の直線入り口にあたり、本馬がまだ中団や後方でもがいているようなら敗北必至ということである。
やや強引な言い方になるが、スローが濃厚な今回は「如何に無理をしてでもポジションを獲りに行けるか」が、本馬が好走する大きな鍵を握りそうだ。逆に無理せず大事に乗り過ぎてポジションを下げることだけは避けたい。無論、無理をすれば最後に響くかもしれないが、今回の舞台はそのリスクを背負ってでも勝利を求めていい価値のあるレースだ。
ラブリーデイが不振を脱出するための最も大きな鍵は『積極性』に他ならない。
敗戦が続いているが、大阪杯の走りを見た限り、昨年より能力が落ちているというわけではなさそうだ。だが、それがドゥラメンテに通用するかは、やってみないとわからない。ただ、少なくともキタサンブラックやアンビシャスとは着順ほどの差はない。
昨年の覇者として舞台設定に文句がないだけにラブリーデイにとって、ここはまさに言い訳が効かない一戦。本馬がトップクラスで踏み留まるための、背水のレースとなりそうだ。
(監修=下田照雄(栗東担当))