ディープインパクト「武豊降板」の可能性あった!? 引退レース直前に訪れた大ピンチ「もう1人の天才騎手」が描いた野望
編集部
震撼したのは、何も競馬ファンだけではない。仮に武豊騎手が有馬記念で乗れないとなると、当然ながら「代役」が必要になる。しかし、ディープインパクトはデビューからずっと武豊騎手が騎乗し続けてきた存在だ。
「あの時はジョッキールームがザワついたよ。みんな”誰が乗るんだ””とてもじゃないが乗れない”と騒いでいた」
そう当時を振り返るのは『東京スポーツ』の取材に応じた横山典弘騎手だ。それもそのはず、ディープインパクトがあれだけの国民的スターホースとなったのも、武豊騎手とのコンビがあってこそである。
そんな馬の引退レースで代役を務めるだけでも、想像を絶するプレッシャーに違いないが、さらにディープインパクトは前年の有馬記念で国内唯一の敗戦を喫している。当時すでに国内では敵なしといった状況だったが、”万が一”ということも当然あるわけだ。
しかし、そんな”黒ひげ危機一髪”状態の中、「俺は内心、本気で乗りたいって思っていた」と密かに野心を燃やしていたのが横山典騎手だった。
武豊騎手に匹敵する”天才”と評され、大胆不敵な騎乗が光る横山典騎手らしい発言だが、その姿勢はあくまで貪欲。「俺はどんな馬だろうと乗りたい。いい馬には何か共通点があるだろうし、乗れば必ずプラスになる」と重圧よりも騎手としての好奇心が勝っているところが、如何にも横山典騎手らしい。
「現役の日本人騎手で、こんなことが言えてしまう騎手は、もしかしたら横山騎手だけかもしれませんね。普通のメンタルだったら、到底前向きにはなれませんよ。