宝塚記念(G1)武豊「キタサンブラックの悪夢」払拭へ。単勝1.4倍9着惨敗から1年……伏兵ダンビュライトが「リベンジできる」理由
さらにその後ろの7着には、ファン投票1位で1番人気が濃厚なサトノダイヤモンドの姿が。向こうが本調子でなかったのかもしれないが、両者についた2馬身半差は決して小さな着差ではない。
終わってみれば、巻き返しを図る人気馬よりも「前哨戦の最先着馬」が好結果を残すというのは、競馬ではよくある話だ。
それでもヴィブロスやキセキといった「別路線組に通用しないのでは」という意見があるのは当然か。その上でダンビュライトにとって、宝塚記念で好走するのに「非常に大きな要素」がある。重賞初制覇となった1月のAJCC(G2)での勝利だ。
このAJCCという重賞は宝塚記念と同じ2200mであり、阪神内回りコースと似た特徴を持つ中山コースで行われている。単純に、これだけでも大阪杯からの200mの距離延長は同馬にとって小さくはないプラスといえるだろう。
AJCCは前週に関西で日経新春杯(G2)が開催される関係もあって、関東馬が圧倒的に強いレースである。具体的に述べると2000年以降の18回で、関東馬は12勝している。だが、その一方でAJCCの勝ち馬は、同年の宝塚記念で惨敗するケースの方が目立っている。
しかし、逆に述べれば1999年のスペシャルウィークがそうであったように、関西馬がAJCCを勝つというのは「ちょっとした快挙」である。ちなみに過去10年でAJCCを勝った関西馬はトーセンジョーダン、ルーラーシップ、ダノンバラード、そして今年のダンビュライトだ。
その上で、先ほど「AJCCの勝ち馬は、同年の宝塚記念で惨敗するケースが目立っている」と述べたが、こと「関西馬」になるとまったく話が変わってくる。
「ルーラーシップとダノンバラードは、同年の宝塚記念で2着に好走。トーセンジョーダンだけ大きく敗れていますが、これはテン乗りだったN.ピンナ騎手が初のG1騎乗で、まだ日本の競馬に慣れていない点もありました。本人も後から『デキが一息で、ポジショニングも悪かった』と振り返っています。
何よりも、同馬がその年の秋に天皇賞を勝ったように、関西馬が遠征の不利を跳ね返してAJCCを勝つのは、高い適性と実力がないとなかなかできません。ダンビュライトもAJCCでは、評判馬のミッキースワローに2馬身差と非常に強い勝ち方でした。
また、好位から大阪杯は積極的に運んだ大阪杯は、勝ったスワーヴリチャードに早めに捲くられる厳しい展開。先行勢が壊滅する中、6着に残ったのは立派で実は隠れた実力馬。近親にこのレースを勝ったマリアライトがいますし、このメンバーなら一発は十分ありますよ」(競馬ライター)