【G1回顧・帝王賞】上半期を豪華に締めた! 武豊・コパノリッキーが完全復活を告げる圧勝劇!秋にはアメリカ挑戦も
強いコパノリッキーが完全復活した。
いや、むしろ「全盛期より、さらに凄みを増して帰ってきた」と述べて方が適切なのかもしれない。それくらい今回のコパノリッキーのレースぶりは完璧で、何よりも力強かった。
昨年こそメンバーが揃わず単勝1.5倍のホッコータルマエが完勝したが、今年はコパノリッキーにホッコータルマエを加え、昨年の東京大賞典でこの2頭を打ち破ったサウンドトゥルー、4歳最強といわれるノンコノユメ、さらには今年になって充実一途を迎えているアスカノロマンまでが「5強」を形成。
一転して、充実した「春のダート最強馬決定戦」となった。
レースはコパノリッキーでも、ホッコータルマエでもなく、6番人気のクリソライトがハナを切る波乱の幕開け。2番手にアスカノロマンが続き、スタンドは早くも大きなどよめきに包まれた。
先手を譲ったコパノリッキーは3番手、それを見るような形でホッコータルマエ。サウンドトゥルーとノンコノユメは、いつもどおり中団より後ろに位置取った。
いくら雨の影響で不良馬場とはいえ、スタートから2ハロン目の「11.2秒」は芝のスプリント戦並みのタイムである。つまり、クリソライトとアスカノロマンはコパノリッキーやホッコータルマエから先手を奪うために、相当な無理をしたということになる。
しかし、スタートから600mを「36秒」で通過したものの、600mから1000mまでの区間でペースは落ち着きを取り戻し、1000mの通過は「62.2秒」。これでクリソライトとアスカノロマン以外の先行馬の体力的な不利は、ほぼなくなった。
そんな中、レースが動いたのは3コーナーを回ったところだった。
3番手を追走していたコパノリッキーが抜群の手応えで進出を開始すると、一瞬にして前の2頭を飲み込んで先頭に躍り出る。スタンドからは火のついたような歓声が上がり、ぐんぐん加速するコパノリッキー。マークしていたホッコータルマエが必死に差を詰めようとするが、離されないだけで精一杯という感じだった。
いや、追走するだけで限界だったのはホッコータルマエだけではない。それくらいコパノリッキーの手応えは圧倒的だった。4コーナーを回り、各馬の鞍上が必死に相棒にゲキを送っている中、コパノリッキーの鞍上・武豊騎手はズレたゴーグルの位置を直していたのだ。
つまりコパノリッキーの手応えがいかに図抜けたものであったか、天才騎手が見せた「一瞬の余裕」が、そのすべてを物語っていたということだ。
最後の直線に入ってからはコパノリッキーのワンマンショー。独走するコパノリッキーについて行けずに馬群がばらけ、それを捌いてきたノンコノユメでさえ、影すら踏める気配がない。最後はノンコノユメも3着サウンドトゥルーに5馬身の差をつけたが、その3馬身以上前に、悠々とゴールするコパノリッキーの姿があった。