JRA「落馬骨折」も”医師不在”藤田伸二氏も吉田隼人に同情。「人間扱いして……」騎手の「命」医療体制はブラックボックスか
「医者がいなくて明日検査です」
5日の札幌競馬の1Rで落馬負傷した吉田隼人騎手。JRAの公式HPでは「頭部打撲、腰椎骨折」と発表されたが、元JRA騎手で先輩にあたる藤田伸二氏が吉田騎手に連絡をとったところ、「医者がいなくて……」という一般的には到底信じられない答えが返ってきたという。
厳密に述べると、どうやら「専門知識を持った医者が在中していなかった」という話のようだが、仮にそれが事実だとしても「あり得ない」と述べざるを得ないだろう。
今回の吉田騎手は「打撲や骨折」といった、落馬事故で最も起こり得るケース。にもかかわらず専門医がおらず、それも検査を受けるのに「明日まで待たねばならない」とは一体、現場での医療体制はどうなっているのだろうか……。
ましてや吉田騎手は連絡が取れるほどの状態とはいえ、頭部を打撲している。例え本人が「大丈夫」と述べても、本来なら早急に精密な検査がなされて然るべきだ。
現役時代に何度も似たような経験をしたという藤田氏からも、公式Twitterを通じて「銭は稼げるが、命は持たん……」と悲痛な叫びが見て取れた。こうした騎手を”守れない”主催者側の体制も、藤田氏が早期にムチを置いた理由の1つだという。
「述べるまでもなく日本中央競馬会(JRA)は国営組織。メディアに対しても圧倒的な力を持っており、これまでも大きな落馬事故が起こるたびに、関係者やメディアで医療体制絡みの問題が提起されることがありましたが、大きく取り上げられることはなく……今回の吉田騎手のケースを見ても、抜本的な改善は行われていないのかもしれません。
実際に落馬事故は競馬に付き物ですが、JRAの特徴として精密検査の結果を公に発表するのが、レース翌日以降になるなど『とにかく遅い』という印象があります。お役所仕事と揶揄される面もありますが、こういった医療体制の連携の問題もあるのかもしれません」(競馬記者)