【夏季特別企画】史上最強世代の『最後の一冠・菊花賞の行方を占う』Vol.3「昨年のアンビシャスに次ぐ”大物”出現か。ナリタブライアン、キズナの系譜を継ぐ良血馬が覚醒の兆し」
「うれしいです。勝たなくてはいけないレースでしたし、勝ててよかったです」
レース後「勝たなくてはいけないレース」と話した戸崎騎手の言葉通り、ここはゼーヴィントにとっては単なる通過点に過ぎないのかもしれない。初重賞制覇となった今回のラジオNIKKEI賞は、そう思えるほど圧倒的な勝ち方だった。
管理する木村哲也調教師は「このまま放牧へ出します」とコメント。これで秋の大舞台への賞金の心配は、ほぼなくなった。まだ菊花賞出走は明言されていないが、天皇賞・秋には戸崎騎手のお手馬となるステファノスやスマートオーディンが向かう公算が高く、手の合う鞍上の確保を重視して、このまま菊花賞に向かってはどうだろうか。
木村調教師が「距離が伸びても大丈夫」と話しているように、ゼーヴィントのディープインパクト×ブライアンズタイムという血統の組み合わせは、今年の皐月賞馬ディーマジェスティと同じで距離の融通性は高そうだ。
そして何より、ゼーヴィントの血統は4代母Pacific Princessの存在が際立つ。Pacific Princessは本馬の3代母となるアサーティブプリンセスの他に、パシフィカス、キャットクイルという名牝を輩出。
パシフィカスからは3冠馬ナリタブライアン、菊花賞他G1を3勝したビワハヤヒデ兄弟を、キャットクイルからは2冠牝馬ファレノプシス、孫にダービー馬のキズナを輩出しており、Pacific Princessの一族は日本でも屈指の「クラシックの名血」といえる。
そんな系譜を受け継いだゼーヴィントも、今まさにこの時期から大きく成長するはずだ。
歴代の先輩にはまだ及ばないが、ナリタブライアンとビワハヤヒデが菊花賞を、ファレノプシスが秋華賞を制し、キズナがフランスの凱旋門賞で4着したことを考えれば、ゼーヴィントがこの秋に”大仕事”をしても驚けない。
昨年のラジオNIKKEI賞を勝ったアンビシャスも、秋には天皇賞で0.2秒差の5着。今年になってからは完全にトップクラスの仲間入りを果たしている。今年のゼーヴィントもレース内容では遜色ないだけに、ここからの飛躍が大きく期待される一頭に違いないだろう。