JRA川田将雅「騎乗停止」も”ノーペナルティ”の謎……「前例」武豊が切実に訴える欧州と日本の競馬を取り巻く環境問題
「まず、8月29日は英国のレースに乗れなかったわけですから、川田騎手が『ノーペナルティ』というわけではないですね。海外競馬で騎乗停止になって帰国する場合、現地の裁定委員の裁量によって、多少の執行猶予や酌量の余地が与えられる場合が”暗黙の了解”としてあるようです。
例えば、武豊騎手は2006年の12月に香港で騎乗停止処分になりましたが、その年の有馬記念(G1)にはディープインパクト引退レースが控えていました。そこで、本来なら騎乗停止でしたが、その期間を有馬記念の翌日に延期する特別処置が取られました。
それと同じように2011年の池添謙一騎手も12月の香港スプリント(G1)で騎乗停止処分を受けましたが、オルフェーヴルの有馬記念が控えていたため、武豊騎手と同様の処置が取られました。池添騎手の場合、その期間に騎乗予定が一切なかったので、実質『実効0日』という特殊な事例となりました」(競馬記者)
また、川田騎手が今回処分の理由となった鞭の使用に関しては「日本よりも英国の方が厳しい」という実情がある。
具体的には日本では現在10回まで鞭の使用が認められているが、英国では7回。川田騎手が「馬に反応の時間を与えずに鞭を使用した」ことによって処分を受けたように「連打」にも厳しい処置が執られている。
無論、それが英国のルールであり、それを破ってしまった川田騎手が処分を受けるのは当然だ。
しかし、欧州における鞭の使用基準に関しては、現地で活躍する騎手からも度々異議申し立てが行われている状況。それに加えて、述べるまでもなく川田騎手は日本を主戦場とする騎手である。今回の制裁には、その辺りにも酌量の余地があったのかもしれない。