JRA有馬記念(G1)「最終追い切り」武豊オジュウチョウサン、覚醒キセキは微妙!? 仕上がり良好は……鈴木和幸「第63回有馬記念最終追い切り診断」
先週の1週前追い切りが際だっていたオジュウチョウサン。今週も先行する併走馬をG前きっちり捕らえ、ウッド5F67秒4-38秒3-12秒8.重心の低い乱れのないフットワークには仕上げの順調さ、調子のよさがはっきり。ただし、平地のGⅠをとれるほどの鋭さまでは伝わってこなかった。
キセキは、先週も今週も馬なり単走。相変わらずバネを利かせた弾むような動きでウッド5F68秒7-39秒0-12秒1。ひとことでいえば、好調キープである。しかし、前走時の最終追い切りがあまりにもすばらしく、これと比べるとオーバーワークを避け、体調を崩さないようにといった感も。激走続きだし、前走以上を望むのはかわいそうだ。
クリンチャーは、坂路で単走、上がり中心で54秒5-39秒3-12秒3馬なり。大きなフットワークには力強さがあり、凱旋門賞遠征の疲れはすでにとれているが、どうにか出走にこぎつけたというところまでか。
ウッドで4F49秒1-36秒5-12秒0の速い時計をマークしたサウンズオブアースだが、この程度はいつも動く馬で、格別に良化したとは思わない。3走前の札幌記念であわやの2着のシーンをつくったが、前2戦はまったく勝負に参加できていない。もう1ヶ月たらずで8歳、見せ場をつくることすら難しい。
7番人気でしかなかった函館記念で2着のように、時として大駆けがあるサクラアンプルール。この中間は時計4本、元気いっぱいに馬場を飛び回っている。今週は併走相手の2馬身ほど後方からウッドの6Fスタート。そのままの形で直線を迎え、半ばでGOサイン。すると並ぶ間もなくまえを捕らえ、2馬身先着してのゴール。時計的には84秒8-39秒0と特に速くはないが、1F12秒1の反応の素早さ、一直線の伸びに目を見張らせるものがあった。混戦は望むところの根性馬でもあるし、穴馬に要警戒だ。
ジャパンCが3番人気で6着と、期待外れに終わったサトノダイヤモンド、聞けばこの有馬記念がラストランとか。先週、ウッド6F81秒9-37秒8-11秒4をいっぱいにやって今週に備えたが、どうやらこのひと追いが効果的だったよう。併せ馬で3馬身の先着がクビでも遅れた先週との違いだが、何よりの違いはまったく力まなくなり、ゆったりとリラックスして走れていたこと。むろん、力強さはあるのだが、それよりしなやかさを感じさせた今週の追い切り。”ラストランV”を示唆しているように思えてならない。