JRA有馬記念(G1)「最終追い切り」武豊オジュウチョウサン、覚醒キセキは微妙!? 仕上がり良好は……鈴木和幸「第63回有馬記念最終追い切り診断」
牝馬のモズカッチャンは、12日に坂路52秒3-37秒8-12秒3を出し、これが事実上の最終追い切り。これくらいやれるくらいだからエリザベス女王杯の反動はこれっぽっちもなく、肌つやも良好。今週は意識してセーブしたため坂路54秒8-40秒2-12秒6にとどまったが、その気ならいくらでも速い時計が出せたはず。2kgもらいの54kgで一発あるか、それくらいのデキのよさである。
リッジマンは、ウッドの4Fから単走で53秒5-38秒4-12秒3をG強め。前走を勝って2連勝しているだけあって動きは軽快、気配も上々だ。ただし、調子落ちは一切ないものの、これだけの強力馬相手では大きなプラスアルファがないと。残念ながらそれはない。
1番人気が予想されるレイデオロの藤沢和厩舎は、速い時計を出さないことで有名。軽めを丹念に乗り込んでの仕上げである。前走後は牧場でケアし、11月28日に帰厩した。長短10本の時計を出したおかげで、先週の時点で九分通りの仕上がり。今週は形的には3頭併せだが終始マイペースを守り、手綱をとったルメールも感触を確かめているだけ馬なり、並んでゴールの5F69秒0-39秒4-13秒0。一般的には平凡に映る時計でも、天皇賞を勝ったときと比べても遜色がない。ルメールのしびれるような手応えからも理想的に仕上がったと判断していい。
~鈴木和幸プロフィール~
競馬記者歴45年、競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を本誌予想として初めて達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。
著書に「勝ち馬がわかる競馬の教科書」(池田書店)「図解競馬の参考書」(宝島)など多数。「勝ち馬がわかる競馬の教科書」は競馬書籍としては快挙とも呼べる、約7万部を発行している。