JRA「支配者ノーザンと対立」で勝利激減の名調教師……「こだわり」が弊害、しかし”例外”もある
内容としては、伊藤正調教師の「最後の教え子」である3歳牝馬(レディードリー)の記事なのだが、記事中に注目されている言葉がある。
「ここ数年は勢いを加速する大手法人クラブのイエスマンになれず、預託馬に苦心した」
伊藤調教師は、騎手時代にはラッキールーラで日本ダービーを勝利するなど活躍、調教師となってからはマイル王エアジハード、ローエングリンなどを輩出し、1990年代~2000年代は毎年20勝以上を堅実に上げる厩舎として存在感を放った。故・後藤浩輝騎手の師匠としても知られる。
しかし、2010年付近から目に見えて成績が下降。その後は年間2ケタ勝利に届かないまま現在に至る。これが「大手法人クラブのイエスマンになれず」ということなのだろうか。
「競馬界の伝説的人物といえる尾形藤吉氏の影響を強く受けている伊藤調教師。自身の考えに一本筋が通った人物として知られていますが、それがノーザン系の意向と合わない部分はあったのかもしれません。
10年以上リーディング上位に名を連ねるベテラン調教師の中にも、過去のこだわりを捨てたかのようにローテーションを変化させた人物がいますが、特にノーザンファーム生産、それに伴うクラブ馬に多い印象ですね。ノーザンの影響力を考えれば、その意志を尊重するのは当然といえば当然です。
ただ、頑なにノーザン系馬を預託せず、日高生産馬にこだわり好成績を残す昆貢厩舎のような存在もあります。一概にはいえない部分もありますよ」(競馬誌ライター)
ノーザンに好かれるのが近道なのは間違いない。ただ、それを理由のすべてにするのは苦しい部分もあるようだ。