JRA「若手の墓場・美浦」ベテラン蔓延る「悪循環」風土。栗東デビュー騎手の活躍と「象徴的存在」とは
「関西は『とりあえず3キロ減があるし、どんなものか乗せてみよう』という気質。だから若手にもある程度のチャンスが与えられるし、結果を出せれば続いていく。でも関東は『いい馬なんか乗せて失敗したら二度とチャンスはない。上手なのがわかってから乗せればいい』という考えです。それぞれのスタンスといえば聞こえはいいですが、ようは関東は関西に比べて『育てようという意識』が希薄なんですよね。だからベテランばかりが蔓延って、有望な若手が育ってこないんです。
今年は戸崎圭太騎手、田辺裕信騎手という関東の中心たる2人が思うように勝ち星を伸ばせていませんが、それでも『他がいない』ので騎乗馬の質はそこまで落ちません。そしてもっとも問題なのが、その2人を降板させた場合、その馬が関東の他の騎手ではなく、スポットで来た『関西の有力騎手』に渡ってしまうこと。昨年年間215勝の新記録を作ったクリストフ(ルメール)は関東の勝利のほうが多かったけど、まさに象徴といえる出来事。今のリーディング上位が関西騎手だらけなのも、その影響が大きいからです」
「西高東低」といわれて久しい競馬界だが、東西の「体質」がこの結果を生み出しているとのことだ。
また、今年になっていきなり勝ち星を伸ばしたある「若手騎手」の存在が、非常にわかりやすい例だという。
「現在全国リーディング20位の12勝、2年目の西村淳也騎手です。すでに昨年の13勝を超える勢いですが、彼もまた栗東所属。デビュー時はお世辞にも上手いとは言えませんでしたが、根気よく乗せ続けたことでコツを掴んだのか、積極的な競馬で軌道に乗っていますね。これもまた『やってみなはれ』精神の栗東だからこそ。これが美浦だったら早い段階で見限られて埋没、もしくは活躍までもっともっと時間がかかっていたでしょうね」(前出の記者)