「英断?」それとも「見切り発車?」問題山積の中、JRAが『ケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズ』を急設した「表側の理由」と「裏側の理由」【後編】
今年の凱旋門賞(仏G1)から、ついに発売される海外馬券。すでにJRAから発表があるように馬券発売はJRAが定めた独立プール方式で行なわれ、日本国内独自のオッズとなる。従ってレース開催国へのマージンを除けば、馬券発売の利益は通常の国内レースと同じくJRAが得るということになる。
JRAからすれば、レースを主催する手間や責任から逃れ、賞金を出す必要もない。つまりは、これほどおいしい話はないというわけだ。
「NHKのワンセグ問題もそうですが、JRAに限らず『お役所仕事』といわれる機関の多くは、一般市民の権利に対しての対応は緩慢で、逆に義務に対しては極めて迅速な対応を取ってくるという話はよく耳にします。利益に対して敏感になるのは当然のことですが、JRAも多くの国家機関の御多分に漏れず、目に見える利益増に対しては極めて積極的で優秀だといわれていますね」(同)
無論、来年のケンタッキーダービーでの馬券発売に関しては単なる噂に過ぎない。しかし、実際にこれだけ欠点だらけの状況で『JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY』を立ち上げたことが、単なるJRAの失態だと考えるのはやや不自然だ。
無理をしてでも、今年中に立ち上げる必要があった。その理由が「何」なのか。答えは来春のケンタッキーダービーが開催される5月までには見えているかもしれない。
(文=浅井宗次郎)