ジュエラーのローズS(G2)大敗の真相究明「桜花賞馬はもう終わったのか」張り巡らされる「煙幕」秋華賞に向けての「戦い」はすでに始まっている
その戦法はピタリとはまり、ここまで4戦はすべて上がり3ハロン1位を記録。爆発的な破壊力を持つ末脚を存分に発揮して桜の女王に輝いた。だが、それでも4戦して2勝。勝つにしろ負けるにしろ、ライバルのシンハライトとの差もわずか数cmしかない薄氷だ。
その上で、春の4戦は京都と阪神の外回りコース。じっくり溜めた末脚を存分に発揮するジュエラーにとっては好都合の舞台だった。
だが、次の秋華賞は京都の内回りコース。短い直線勝負に対応できる自在性が問われる舞台だ。実際に秋華賞の4コーナーでポジションが2ケタだった馬が勝利したのは、20年の歴史の中で2004年のスイープトウショウただ一頭だけだ。
その一方で、これまでジュエラーは4コーナーを1ケタ着順で回ったことは一度もなかった。率直に述べれば、このままの競馬ではローズSはともかく、秋華賞で自在性に勝るシンハライトに勝つことは極めて難しくなるということだ。
だからこそ、デムーロ騎手はあえてポジションを獲りに行く競馬を試した。試すには、ここしかなかったのだ。
だが、デムーロ騎手にとって計算外だったのは、押して前に行ったことでジュエラーが掛かり気味になったことだ。
無論、休み明けだったことも決して無関係ではないだろう。だが、それ以上にこれまでのレースでスタートから追われた経験のない、もっといえば、いつも出たなりのレースで最後の勝負所以外でゴーサインを受けた経験がない桜花賞馬は、やはり闘争心に火がついてしまった。
それでもデムーロ騎手は、すぐに馬の後ろに付けて”傷”を最小限に抑えている。だが、最後の直線でズルズルと後退。結果的に勝ったシンハライトからは、1.6秒も突き放された11着に大敗している。