【徹底考察】オールカマー(G2) マリアライト「女傑が迎える最後の秋を前に宝塚記念勝利の要因を徹底検証。初戦のグランプリホース対決には『必然的な死角』がある」
14日の1週前追い切りは、美浦のウッドコースで併せ馬。6ハロンを85.1秒、ラストは13.1秒で併入した。動き自体はごく平凡だが元々攻め駆けしない馬で、陣営も「まだ体に余裕はあるけど、動きは良かった。過程は順調だし、今日と来週で仕上がるんじゃないか」と順調さを強調。
昨年は4着に敗れたオールカマーだが、後にエリザベス女王杯を制してG1初制覇。今回は、そこからさらに宝塚記念を上積みして貫録の出走だ。当然ながら、昨年のような結果で納得できる立場ではない。
日本競馬を牽引する女傑が、最後の秋にどんな彩を描くか注目だ。
【血統診断】
今や日本競馬を牽引するスーパーサイアーとなったディープインパクトだが、当所は「ディープインパクト産駒はスピードやキレはあるがパワーはない」と言われ続けてきた。
実際に活躍馬は芝に大きく偏っており、雨が苦手な産駒も多く、直線が長く坂のない京都競馬場などでは抜群の成績を誇っているのがディープインパクト産駒の傾向だった。
しかし、近年、この傾向は大きく変わりつつある。顕著に表れたのは今年の3歳馬からで、ディープインパクト産駒にとって鬼門だった皐月賞やセントライト記念などといったパワーが要求されるレースを尽く勝利。上位を独占するまでに至っている。
イスパーン賞を10馬身差で圧勝したエイシンヒカリやマリアライトは、その先駆け的な存在で、本馬もデビュー2戦目こそ出遅れて3着だったが、雨が降って馬場が荒れた他のレースではすべて勝利。そこには今年の宝塚記念や昨年のエリザベス女王杯も含まれており、まさに弱点を克服した「ディープインパクト産駒の完成形」といえる存在だ。
だが、すべてのディープインパクト産駒がそうではないように、マリアライトがパワーのあるディープインパクト産駒なのには理由がある。
それこそが母方の血であり、半兄のクリソライト(父ゴールドアリュール)や半弟のリアファル(父ゼンノロブロイ)に重賞級のダート実績があるほどパワーに優れた血統だ。近親にはジャパンCダート(現チャンピオンズC)を勝ったアロンダイトもいる。
台風の影響で荒れた天気が続いているようだが、今週末も土曜は雨模様。同距離で似た性質を持つ宝塚記念を勝った本馬に舞台の不安はないし、雨が降って時計が掛かる馬場になれば、なお有利になるはずだ。