笹田厩舎はエアスピネルだけじゃない!『BIG5』の成長力を上回る「覚醒」レッドエルディストが3歳牡馬の勢力図を塗り替える!
この日は春の最強スプリンター決定戦・高松宮記念(G1)当日。中京は先行馬が軒並み残り、次々とレコードが生まれる超高速馬場。外を回った馬はまず差し届かない状況だった。
だが、レッドエルディストは、このレースを「後方から外を回して」差し切り勝ちを収めている。この日の中京の芝で後方から差し切ったのは、この馬だけだ。
さらに、このレースで同じく後方から競馬をして4着まで追い上げていたのがカフジプリンス。後に阿寒湖特別(1000万下)を5馬身差で勝利し、「この夏最大の上がり馬」として菊花賞戦線に名乗りを上げている馬である。これだけを見えても、この時点でレッドエルディストが極めて高い能力を有していることがわかる。
続く青葉賞ではヴァンキッシュランの粘り込みの前に敗れたが、上がり3ハロンの33.9秒は、2位のヴァンキッシュランよりも0.6秒も速い断トツの末脚。上がり35~37秒がほとんどの他馬と明らかに違う脚色を見せていた。
さらにレース後、手綱をとっていた四位騎手は「ダービー出走権を確実にするため、慎重に運んだ」という主旨の発言を残している。つまり、青葉賞は勝利よりも、確実に権利を獲りに行ったということだ。
9着に敗れた日本ダービーにしても、スタートから出遅れて後方16番手からの競馬。無論、力負けの部分もあるが、世代屈指のメンバーの中を9着まで追い上げたのは、この馬が非凡な能力の持ち主である証だ。
そして、何よりもこの「9着」は例年の日本ダービーの9着ではない。