前哨戦から考える「最強世代・菊花賞の行方」 サトノダイヤモンドとディーマジェスティの力は圧倒的も、2強対決には疑問な「不安要素」と「不気味な伏兵」の数々。そしてエアスピネルは?
25日に行われた、神戸新聞杯(G2)。3歳牡馬クラシック最終戦、菊花賞(G1)の前哨戦として過去に多くの名馬が勝ち馬に名を連ねる「登竜門」である。
今年は、断然の1番人気に推されたサトノダイヤモンド(牡3歳 栗東・池江厩舎)がその実力を発揮して勝利。春のクラシックを湧かせた「ディープインパクトBIG3」の一角がいい形で秋のスタートを切ったといえるだろう。
2着のミッキーロケット(牡3歳 栗東・音無厩舎)がこれまでで最高と言える鋭い末脚を使い追い詰めたものの、競りかけられてからのサトノダイヤモンドの粘りは見事という他なく、最後の最後クビ差前に出た勝負根性も特筆もの。3着には3馬身差をつけていることから、内容も上々だったと言える。接戦となったのもミッキーロケットが極めて優れた状態だったこと、鞍上の和田竜二騎手が最高の騎乗した点が大きかったに過ぎない。
見事「菊の主役」を高らかに宣言したサトノダイヤモンドだが、かといって本番で人気が「断然」となることはないだろう。その前週のセントライト記念(G2)に登場した皐月賞馬・ディーマジェスティ(牡3歳 美浦・二ノ宮厩舎)も、圧巻の走りで菊花賞の本命に名乗りを上げている。
ディーマジェスティもまた、2着のゼーヴィント(牡3歳 美浦・木村厩舎)にクビ差の勝利だったものの、着差以上の実力を見せつけた格好だ。道中は後方でレースを進め、3コーナー付近からロングスパートを仕掛ける。直線で先頭に競りかけてからも鞍上の蛯名正義騎手は後ろを振り返る余裕を見せた。仕掛けてからの反応は「さすがは皐月賞馬」といえる圧倒的なもの。
血統的にもサトノダイヤモンドが中距離寄りであるのに対し、ディーマジェスティは母父にブライアンズタイムを持つ。ブライアンズタイムの産駒はスタミナやパワーに優れ、ナリタブライアンやマヤノトップガンなど菊花賞馬、長距離G1ホースも複数輩出している。この点でいえばディーマジェスティのほうが血統面では菊花賞に向いていると判断できるだろう。見てくれの派手さではサトノダイヤモンドの方が上なので、人気面でどうなるのかは微妙だが、本番に向けて不安材料が少ないディーマジェスティが一歩リードと言えるかもしれない。
ただ、現状圧倒的と見られる2頭だが、不安がまったくないわけではない。