【徹底考察】毎日王冠(G2) リアルスティール「安田記念の大敗は福永祐一騎手の『騎乗ミス』だけにあらず。もう一つの『敗因』はデムーロだけでは変わらない」
1つは8枠11番からのスタートだったこと。大外から2頭目の発進となり、当然ながら前に馬を置いて折り合いをつけにくい状況。大外から被せてくると思われていたレッドアリオンが前に行かなかったことも、福永騎手にとっては誤算だったはずだ。
そこに、マークしようと考えていた最大のライバル・モーリスが好位に取り付いたことで、リアルスティールをスタートから出して行かなければならなかったことが重なる。結果的にスタートから勢いをつけた分、馬が行く気になって折り合いを大きく欠くこととなった。これは言うなれば、福永騎手の責任の範囲だろう。
ただ、もう1点はどちらかといえば「陣営」に原因があるように思う。
ドバイ帰りの4月から間隔が開いたため、安田記念の最終追い切りをつけた福永騎手はサンケイスポーツの取材に「いつもの最終追いは馬なりですが、『いつもより強めに負荷をかけたい』と矢作調教師から言われていた」と語っている。
実際に、この時のリアルスティールは栗東の坂路でしっかりと追われて4ハロンで50.8秒、ラスト12.0秒と抜群の動きだった。この動きから、本馬の調子自体は良かったはずだ。
しかし、結果的にこの「強い最終追い切り」が、リアルスティールの気性面にマイナス影響を与えた気がしてならない。4ハロンで50.8秒というのは、まさしく前向きな気性を持ったマイラーやスプリンターが叩きだす時計だ。
無論、生涯初のマイル戦ということもあり、一概にこの最終追い切りが悪かったとは言えないが、結果的には”裏目”に出たのではないだろうか。