【徹底考察】毎日王冠(G2) リアルスティール「安田記念の大敗は福永祐一騎手の『騎乗ミス』だけにあらず。もう一つの『敗因』はデムーロだけでは変わらない」
≪結論≫
『考察』では前走の安田記念の敗因について述べたが、実はこれはリアルスティールの秋・始動戦となる毎日王冠にも連動している。何故なら、本馬はすでに栗東の坂路で行なわれた5日の追い切りで4ハロン51.5秒、ラスト12.2秒という一番時計を叩きだしているからだ。
その上で、下記をご覧いただきたい。これは昨年の菊花賞からの国内レースにおけるリアルスティールの最終追い切りの時計だ。
2015年10月、菊花賞(G1) 栗東坂路4ハロン53.6‐12.6(福永)
2016年2月、中山記念(G2) 栗東坂路4ハロン54.1‐11.9(福永)
2016年6月、安田記念(G1) 栗東坂路4ハロン50.8‐12.0(福永)
2016年10月、毎日王冠(G2)栗東坂路4ハロン51.5‐12.2(助手)
見ての通り、リアルスティールは一貫して栗東の坂路で追い切りを行なっているが、全体時計を比較すれば、安田記念以降から速くなっていることがわかる。これは本馬の成長などではなく、単純に「前半から飛ばす調教に変化している」ということだ。
そして、安田記念の走りを見る限り、今回もまたハードな追い切りが影響して折り合いを欠く可能性があるということだ。タイム的には安田記念ほどではないが、助手が乗ってこの時計は相当速い。1週前の段階で騎乗したM.デムーロ騎手が「少し重い」とコメントしたことも、今回の追い切りの内容に少なからぬ影響を与えているはずだ。
従って、リアルスティールはこの追い切りで太目は多少改善されたかもしれないが、同時に折り合いに安田記念のような”爆弾”を抱えた可能性がある。
本馬は今回から福永騎手に替わって、デムーロ騎手が騎乗する点が強みだといわれている。
しかし、あくまで個人的な見解だが、デムーロ騎手は先週のスプリンターズSを制すなどの勝負強さがある一方で、3歳牡馬クラシックの相棒リオンディーズの折り合いに四苦八苦するなど、ライバルのC.ルメール騎手と比較すれば、決して折り合いの技術に特別優れた騎手ではない。
これでまた外枠を引いてしまえば、安田記念の”二の舞”になる可能性も覚悟しなければならない。そして、逆にリオンディーズの日本ダービーのように折り合いに専念して後方からの競馬になれば、上がり最速の末脚を繰り出しても届かない。
それが、毎年「開幕週」で行なわれる毎日王冠の特徴でもある。
(監修=下田照雄(栗東担当))