【徹底考察】菊花賞(G1) サトノダイヤモンド「まさかの辛勝だった神戸新聞杯を徹底解剖。無冠の大器はC.ルメールの手腕で『淀の長丁場』を乗り越えられるのか」
先頭に並びかけるまで一発のムチも入れず、馬なりだったのが何よりの証拠。抜け出す脚も決して全開といえるものではなかったが、それでもミッキーロケットに並ばれるまではムチを入れる気配はなかった。
逆にミッキーロケットは皐月賞敗退後に早めの休養に入り、7月にはもう戦線に復帰している。そこから北海道で3戦して、この神戸新聞杯は叩き4戦目。それも-10kgの馬体重を考慮すればこの神戸新聞杯で「菊花賞の出走権を獲りに来た」というよりは、「神戸新聞杯を勝ちに来た」と述べた方が適切な仕上がりだった。
さらにミッキーロケットの鞍上である和田騎手からすれば、勝てはしなかったが神戸新聞杯はまさしく会心のレース。本気で勝ちに行っていたことに加え、きっちり2400mで全力を使い切るような完璧なレース運びだった。
逆にサトノダイヤモンドのルメール騎手はできるだけ余力を残して勝ちたいが故に、本当にぎりぎりまで追い出しを我慢している。率直に述べるとミッキーロケットの強襲は、ルメール騎手にとって驚きであると同時に、余計な力を使わせないでほしいという気持ちも少なからずあったはずだ。
池江調教師が「地球を1周しても……」と述べたのは、まさにこのことで「2400mのレース」をしたミッキーロケットに対して、サトノダイヤモンドは「3000mのレース」を、言うなれば「2400mを走り切ったあとでも、さらに600m全力で走れるようなレース」をしようしていたということなのだろう。