武豊騎手が「さらに大きなお祭りにしてほしい」と警鐘。何故、複数G1を同日に開催する「ジャパンCデー」は生まれないのか
日本中央競馬会(JRA)の創立50周年企画「JRAゴールデンジュビリーデー」と銘打たれた2004年のジャパンC開催では、史上初めての複数G1の同日開催が実施されている。その効果は如実に表れ、東京競馬場への入場者数は前年比145%と飛躍的に向上。
創設以来、売り上げの低さが懸念されていたジャパンCダートも前年より10億円近く売り上げを伸ばしたが、肝心のジャパンCの売り上げが低下。全体売上も12.8%増加に留まり、最終的にJRAは「再び開催する環境にはない」と事実上の撤退を示唆した。
その後、ジャパンCダートはジャパンCの前日から、翌週開催へ移動。当該週のメインレースとなったことで売上自体は大幅に増したが、「ジャパンC開催」としては、ますます国際競争力を失うこととなり現在に至っている。
これらの経緯は、やはり母体となるJRAが国際競争を勝ち抜き「ジャパンC開催」を世界競馬の確固たる地位に押し上げることよりも、目先の利益に固執した結果だといえるのではないか。
無論、運営者としては決して間違った判断ではないのかもしれない。だが、その結果、ジャパンCそのものが国際競走としての存在意義を問われる岐路に立たされているのは、なんとも皮肉な話である。
(文=浅井宗次郎)