【徹底考察スペシャル】香港マイル(G1) ネオリアリズム「再びR.ムーア確保でG1初制覇の舞台は整った!常識を覆した前走からのあまりに大きな『上積み』とは」
『考察』
その秘めたる力は、紛れもなく「本物」だった。
この夏、札幌記念で春秋統一マイラーであり、後に秋の天皇賞を制することになるモーリスを撃破するというセンセーショナルな重賞初制覇を飾ったネオリアリズム。その後も、生涯初のマイル戦となるマイルCSに直行するという、極めて異例のローテーションには賛否両論があった。
率直に述べて、この【徹底考察】ではどちらかといえば否定的な見解を述べた。無論、あくまで常識的な意見としてだが、初のマイル戦がいきなりG1になることは厳しいのではないかと判断した。
それもモーリスを下した札幌記念が逃げ切りという奇襲戦法だったので、ペースメーカーを務めることが濃厚だったミッキーアイルを引き合いに出し、スピード面に大きな不安があるため、あのような競馬をすることは難しいと見解を述べたのだ。
だが、ネオリアリズムはそんな否定的な意見を完全に粉砕する常識破りの走りを見せた。
G1出迎えた初のマイル戦を前に、ペースについて行けないどころか、2番手から最後の直線で不利を受けながらも堂々の3着に粘り込んだのだ。覆された細かい数字に関しては前回の『【徹底考察】マイルCS(G1) ネオリアリズム「モーリスを沈めた超新星は『本物』か?初のマイル戦で逃げるのか控えるのか徹底解剖(リンク)』で述べた通りだが、それは筆者の想像を遥かに上回る走りだった。
ミッキーアイルのスタート、そして直後のダッシュ力は8枠16番という大外枠の不利を一瞬にして撥ね退けるほど完璧だった。あっという間にハナに立つと、内に進路を切り替えている。その証拠にスタートしてわずか5秒で、もう7枠15番から2番手を獲りに行ったネオリアリズムとの位置関係が内外で逆転している。
最初の600mの34.4秒は、マイルCSなら特別速くはない。前走のスプリンターズSで前半33.4秒の流れを作っているミッキーアイルからすれば、理想的な立ち上がりと述べても良いだろう。