JRA「まるでG3?」低レベル過ぎるフェブラリーS(G1)、トップクラスに見向きもされない残念G1の理由とは
21日、東京競馬場でフェブラリーS(G1)が開催される。「国内の上半期ダート王決定戦」と位置づけられているダートのマイル戦は、2021年最初のG1でもある。無観客競馬が続くJRAでは、少しでも盛り上げたいと考えているだろう。
そんなJRAの思惑とは裏腹に、競馬ファンの間では最近のフェブラリーSの低レベル化が、まことしやかに囁かれている。確かに今年の登録馬23頭を見渡しても、G1勝ち実績がある馬こそいるものの、同じくダートのチャンピオンズC(G1)に比べると物足りなさは否定できないメンバーだ。ネットの掲示板やSNSでは、一部のファンから「G3みたい」「盛り上がらなさそう……」といった声も上がっていた。
また、近年のフェブラリーSが”低レベル化”しているのではないかといった懸念も、過去の優勝馬を振り返れば、否定できない側面もある。
2018年の安田記念優勝を経て、昨年のフェブラリーSを制したモズアスコットは、芝とダートの「二刀流」といえば聞こえはよいが、芝で頭打ちに近かった同馬にあっさり勝利を奪われたダート路線の不甲斐なさも際立つ結果だった。
2019年優勝馬インティも、7連勝で覇者となった以降、勝ち星から遠ざかっているように、絶対的な存在とは言えない。2018年優勝馬ノンコノユメなど、かつての勝ち馬のそれ以降の戦績をみると、全盛期を過ぎているとはいえ、フェブラリーS優勝馬という看板も色褪せて見えるかもしれない。
では、なぜ近年のフェブラリーSに、ダートの一線級の実力馬たちが集まらないのか。
まずはフェブラリーSの開催時期に問題がありそうだ。特に今年は20日にサウジアラビアで開幕するサウジカップデーと、ほぼ丸かぶりの日程となった。
皮肉にも「下半期ダート王決定戦」といわれるチャンピオンズCを制したチュウワウィザードが、当日の『サウジC』に出走予定。ほかにもジャスティン、コパノキッキング、マテラスカイの3頭は『リヤドダートスプリント』に出走するなど、現在の日本ダート界を代表する「旬」な馬たちが、コロナ禍のなかでも渡航。
リスクを抱えても海外レースに出走するのは、それぞれの陣営が、各馬の適性や賞金的な魅力を天秤にかけた結果、フェブラリーSにあえて出走するほどの魅力がなかったからだろう。
一方で国内でも、地方との交流重賞が盛んに行われている。1月27日の川崎記念(G1)ではオメガパフュームが、2月11日の佐賀記念(G3)ではクリンチャーが、交流重賞に狙いを定めて出走し、ともに好結果を残した。この2つの記念競走には、合計10頭ものJRA所属馬が、フェブラリーSには目もくれず参戦している。
以上を踏まえると、フェブラリーSの一番の問題点は、「東京ダート1600m」という舞台設定にあるのではないだろうか。