失意に暮れるノンコノユメはフェブラリーSで復活できるか? ホルモンバランスの安定で久々のG1獲りへ向けて視界良好
牡馬として生を受けながら人間の都合で去勢された馬は星の数ほど存在する。そんな悲しい宿命を背負う競走馬のうちの1頭が、フェブラリーSで2つ目のG1タイトルを狙うノンコノユメ(セ5 美浦・加藤征弘厩舎)である。
デビューは3年前の11月23日。東京ダート1600mの新馬戦で上がり35秒6の末脚を繰り出して完勝。2歳から3歳春までは勝ち切れないレースもあったが、5月の青竜Sで初のオープン勝ちを収めると、続くユニコーンS、大井で行われたジャパンダートダービー(通称JDD)、休養を挟んで迎えた古馬混合の武蔵野Sまで破竹の4連勝で突き進み、ダート界のニューカマーとして頭角を現した。
その後も初の古馬G1挑戦となったチャンピオンズCを2着、翌2016年のフェブラリーSでも2着に好走。当時のダート界を牛耳っていたホッコータルマエやコパノリッキーに変わり、ダート路線の世代交代の旗手として活躍する…はずだった。
だが、続く地方交流G1のかしわ記念を4着に負けたあたりから雲行きが怪しくなる。もともと馬っ気の強さや装鞍所で暴れるような気性の悪い面を持っていたノンコノユメだが、年齢を重ねるとともにその傾向が強くなっていったようだ。
後に、同馬を担当する浅利助手はスポーツ報知の取材に対して「レースを重ねるごとに気が悪くなった。ゲートの中では、横に馬が来ると蹴って駐立が我慢できず、レース中も横に他馬が寄ると気にかけていた」と語っており、不調に陥ってしまった原因はこのあたりにあるようだ。
上半期の総決算といった位置づけの帝王賞を2着に敗れた後、陣営は「彼」に去勢手術を施す決断を下した。それは競走馬としての未来を慮ってのものだが、同時に種牡馬として後世に遺伝子を残す可能性を断つことでもあった。
もともと「ノンコノユメ」というかわいらしいネーミングから、「最初は牝馬だと思っていた」という競馬ファンも多く、重賞戦線での活躍と合わせて注目を集めた同馬。その分、去勢手術のインパクトも大きかったようで、SNS上では「ノンコが去勢?」「種牡馬になれないじゃん」といった驚きの声も散見された。