JRA強気が招いた「なんで負けたんだろう」に賛否!? 横山武史の読み違いも敗因に関係か、大阪杯(G1)エフフォーリアにも「不吉」な前兆

 27日、中京競馬場で行われた高松宮記念(G1)は、丸田恭介騎手の8番人気ナランフレグが優勝。2着に5番人気ロータスランド、3着に17番人気の大穴キルロードが入った3連単の払戻しは、278万4560円の超高配当となった。

「宗像先生にはずっとお世話になっていて、恩返しできたと思うと幸せです。ありがたいです」

 殊勲の勝利を挙げた丸田騎手はデビュー16年目。ナランフレグを管理する宗像義忠調教師は開業30年目で待望のG1初勝利を決めた。次の目標はスプリンターズS(G1)を制しての春秋スプリント王への挑戦となるだろう。

 これに対し、1番人気レシステンシアは6着、2番人気メイケイエールは5着、3番人気グレナディアガーズは12着、4番人気サリオスは15着にそれぞれ敗退。人気上位に支持された馬たちが揃って馬券圏外に沈んだことも、今回の大波乱へと繋がった。

 内が伸びる馬場状態で外枠が不利だったことや、初のスプリント戦で距離適性を疑問視されたことなど敗因が割とはっきりしている3頭に比して、条件的にマッチしていたはずのレシステンシアがここまで崩れたことは少々疑問が残る。

「なんで負けたんだろうという感じ。したかった競馬はできたんですけど。前が残っていたので、いくら負けるにしても負けすぎです」

 レースをそう振り返った横山武史騎手だが、前半33秒4のハイペースを演出した当事者でもある。快速で知られるモズスーパーフレアやビアンフェなど、逃げ馬が不在だった中で少々“強気”な乗り方をしてしまったようにも映る。

 横山武史騎手が指摘した通り、この日の中京競馬場の芝コースは、内から徐々に乾き始めていたこともあり、前々で競馬をした馬が粘り込むケースも出ていた。こういった事前の情報も頭に入っていたのだろう。

 ただ、ジャンダルムが徹底的にマークするような格好で2番手に付けたため、終始つつかれるような展開となり、道中で息を入れる余裕がなかったのも痛かったか。

「1番人気馬であえて目標にされるような逃げの手に出たことに、賛否が分かれたのはやむを得なかったでしょうね。同じく重馬場だった昨年に差す競馬で勝ち負けしたことを考えれば、控える選択肢もあったのは確かです。

思い切りの良さが魅力の騎手ですし、初コンビで手探りの部分もあったと思いますが、結果的に今回はそれが“仇”になったと見られても不思議ではありません」(競馬記者)

 とはいえ、昨秋のセントウルS(G3)では、前半32秒9のハイペース(良馬場)を2番手からの抜け出して押し切ったレシステンシア。自らが先導して作り出した33秒4のハイペースも、本来ならこの馬にとっては許容範囲だった可能性もある。

 しかし、今回は昨冬の香港遠征からの休み明けで馬体重も18キロ増と盤石の状態ではなかった。前々での競馬が誤りではなかったにせよ、さすがに少々飛ばし過ぎたのかもしれない。

 パートナーの状態不安が響いたのか、それとも控える競馬ならまた違う結果となったのか。こればかりは何とも言えないが、翌週の大阪杯(G1)で大本命濃厚のエフフォーリアに騎乗を予定している騎手だけに、レース後のコメントとの温度差は気になる。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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