ソウルスターリング単勝馬券3600万円は惨敗! 2億円おじさんになれなかった悲しき現実とあのミラクルとは?
●最初の奇跡は日本ダービー
2003年の第70回東京優駿(日本ダービー)。謎の馬券師が、このレースの1番人気であるネオユニヴァースの単勝を50万円分購入。単勝2.6倍のオッズがついた同馬は見事にレースを制し、この馬券師は払戻130万円を獲得した。そこまではたまに耳にする話。
だが、この馬券師は翌週に行われた第53回安田記念でさらなる勝負を仕掛けた。日本ダービーで獲得した130万円で、4番人気だったアグネスデジタルの単勝馬券を購入したのだ。そのオッズは9.4倍。そして、アグネスデジタルはその期待に応えて快勝し、この馬券師は1,222万円もの大金を手にしたのである。
この物語は、続く第44回宝塚記念で完結する。馬券師は宝塚記念に出走したヒシミラクルの単勝に、安田記念で獲得した1,222万円を全額投入という「男気」を見せたのである。負ければ1,222万円が紙くずになるという大勝負、その緊張感は並大抵のものではないだろう。しかしそこには感動のフィナーレが待っていた。ヒシミラクルは6番人気ながら大外一気の豪脚で他馬を抜き去り見事優勝。単勝は16.3倍と好配当となった。そして払戻金は約2億円(1億9,918万6000円)に達したのである。
これは競馬用語でいう「コロガシ馬券」だ。的中させて得た払戻金を全額、次のレースに投入。そしてまた的中すれば、さらに得た払戻金を次のレースに投入するという方法。当たれば永遠に金額が増えていくが、外れればそこで終了。ただし失敗したとしても損失は最初の投資金のみ。古くからある馬券投資法のひとつである。
しかしこのコロガシ馬券を並み居る強豪がひしめくG1レースで実施し、見事三連勝を達成したというのはまさにミラクルだったといえよう。というのも3戦目の宝塚記念にはネオユニヴァースとアグネスデジタルという1戦目と2戦目の勝負レースで勝利した馬もいたからだ。普通であればこの2頭に思い入れがあり、他の馬(ヒシミラクル)を買うのは躊躇するもの。それを断ち切って人気薄のヒシミラクルで勝負したこの馬券師のメンタルの強さは相当なものだったといえるだろう。