武豊騎手、皐月賞「勝負の鬼」っぷりに驚嘆と絶賛の声。ファンディーナを潰し、「勝ち」に行った
これが、日本競馬を象徴する騎手の真骨頂か。
16日の皐月賞(G1)は、9番人気アルアインが4番人気ペルシアンナイトととの叩き合いを制してクラシック一冠目を獲得。三連単は100万円を超え、戦前の予想通り「荒れる皐月賞」となった。
ただ、三連単100万円の立役者となったのは、やはり3着馬、12番人気のダンビュライトだろう。武豊騎手の見事な騎乗で、しっかりと上位に食い込んでみせた。
ダンビュライトといえば弥生賞3着のある程度の有力馬。さらに武騎手の騎乗馬となれば、結果はどうであれ本来の実力以上に人気を得やすいのが常である。それでも12番人気だったのは、土曜、そして当日の天候と馬場によるところだろう。
かなり時計の速い馬場で開催された今年の皐月賞。1分57秒8は皐月賞レコードだった。ダンビュライトのこれまでの好走は、弥生賞を除けば稍重、重の馬場であり、良馬場ではライバルたちにより有利な馬がたくさんいただけに、このオッズになってしまったのだろう。
しかし、武騎手からすれば「なめるなよ」といったところか。レース終了後は「ここまできたら勝ちたかった」と語っていたが、まさに「勝ちに行った」レースを展開した。
レースではスタート直後からチラッチラっと、横を進む1番人気、牝馬で69年ぶりの制覇を狙ったファンディーナを意識した武騎手。道中は5番手を進むファンディーナを外からキッチリマークしていた。「揉まれるとどうか」という不安要素を指摘されていたファンディーナ陣営からすれば嫌で仕方がなかったのではないか。
最後の直線、外に持ち出したファンディーナに馬体を合わせるようにダンビュライトも進出。手ごたえは充分で、ここまでの折り合いも完璧だったことをうかがわせる走りを見せていた。