リーディングには表れない勝負強さ…川田でもルメールでもない、今年のG1で“買える騎手”
2022年の中央競馬もいよいよクライマックスへ。25日には、中山競馬場で年末の大一番・有馬記念(G1)が行われる。
近年は12月28日にホープフルS(G1)が行われるため、“最後の締めくくり”というイメージは薄れつつあるが、ファン投票で選出されたこの1年の活躍馬を中心に、現在の日本競馬界を牽引する超一流が一堂に会するドリームレース。やはり「1年の総決算は有馬記念」というファンも多いことだろう。
普段から週末の競馬を見てきた方は、抽選で決まった枠順を見ながら“どの馬”に夢を託すのかという観点で頭を悩ませているところ。一方で、年の瀬のお祭りとあって「有馬記念だけは買おうかな」と臨む方も少なくない。そんな人々が頼りにする要素のひとつが、馬を操る“騎手”である。
今年の乗れている騎手を探すにあたり、手っ取り早いのが「リーディング」の欄。JRA公式サイトには勝ち星だけでなく勝率や連対率、3着内率といったデータまで掲載されているため、そこから夢を託す騎手を探すというのもひとつの手だ。
ところが、当然ながら「リーディング」の成績は今年のすべてのレースにおける数字の積み重ねであり、条件別のデータというと「特別レース勝利数」しかひと目では分からない状態となっている。障害競走(J・G1)を除いて年間24レースあるG1の大舞台で勝負強さを発揮したのは誰だったのか。今回は2022年のG1の成績に特化した騎手のランキングをご紹介したい。
ランキング化の方法は、夏の名物企画『サマージョッキーズシリーズ』で採用されている得点制度をこれまでのG1レース・計22戦に当てはめ、騎手ごとの獲得ポイントを集計。「1着=10点/2着=5点/3着=4点/4着=3点/5着=2点/6着以下=1点/競走中止=0点」で合計点を算出した。トップ5は以下の通り。
1位 63点 川田将雅(リーディング1位)
G1成績:【3-2-1-2-3-8/19】
2位 53点 C.ルメール(リーディング5位)
G1成績:【2-4-1-0-1-7/15】
3位 45点 吉田隼人(リーディング9位)
G1成績:【2-1-3-0-1-6/13】
4位 42点 福永祐一(リーディング6位)
G1成績:【2-1-0-1-0-14/18】
5位 39点 武豊(リーディング11位)
G1成績:【1-1-2-0-1-14/19】
こうして並べて見ると、自身初の年間リーディング獲得へ突き進む川田将雅騎手がG1でも安定した強さを発揮。さらに2位には昨年まで5年連続でリーディングのタイトルを獲得したC.ルメール騎手がランクインと、順当に日本を代表するトップジョッキーが名を連ねた印象が強い。
そんな中で見逃せないのが、3位にランクインした吉田隼人騎手。今年の全国リーディングでは9位ながら、春に大阪杯(G1)とヴィクトリアマイル(G1)を勝利するなど、ここ一番で存在感を発揮してきた。
特筆すべきは、騎乗数13回で第3位の得点をたたき出しているという点。今回の集計方法では乗れば乗るだけポイントが稼げる仕組みになっているところ、自身よりも5回~6回多く騎乗している福永祐一騎手や武豊騎手を抑えて上位に来ているということは、それだけ少ないチャンスをモノにできているということだ。
実際のところ、今年のG1における複勝率は46.2%と高水準。これは10回以上に騎乗した騎手の中ではD.レーン騎手(60.0%)とルメール騎手(46.7%)に次ぐ3番目の好成績となっている。
しかも、それでいて騎乗馬の平均人気はレーン騎手が「6.7」、ルメール騎手が「5.0」なのに対し吉田隼騎手は「8.0」。13回の騎乗のうち1番人気への騎乗は1度もなく、3番人気以内の馬も1頭だけ。複勝の平均配当は475円と、騎乗馬を人気以上に走らせ、波乱の使者となってきた。
その吉田隼騎手が今回の有馬記念で騎乗するのがポタジェ。このコンビと言えば、4月の大阪杯では8番人気ながら勝利を収め、3連単53万円超えというサプライズを起こしたのが印象的。今回はその時以上の大穴評価となることが予想されるが、ここでも人気以上の激走で馬券内の突入があっても何ら不思議ではない。
加えて、有馬記念は吉田隼騎手にとって自身の初G1制覇を達成した思い出深い舞台でもある。2015年にゴールドアクターで挙げた会心の勝利も、思えば8番人気という低評価を覆しての一発だっただけに、その経験も頼もしい限り。1年の締めくくりに大きな一発を狙っている方は、大舞台での強さが光る吉田隼人騎手に夢を託してみてはいかがだろうか。