イクイノックス優勝なら史上2度目の快挙も!? 20年前の有馬記念と重なる足跡

タイトルホルダー 撮影:Ruriko.I

 25日、中山競馬場では第67回有馬記念(G1)が行われる。2022年を締めくくる一戦にはG1馬7頭を含む精鋭16頭が集結。暮れのグランプリは年度代表馬の行方を左右するレースにもなりそうだ。

 今年、国内外の平地G1を2勝以上した馬はタイトルホルダー(天皇賞・春、宝塚記念)とスターズオンアース(桜花賞、オークス)の2頭だけ。もしスターズオンアースが牝馬三冠を達成していれば年度代表馬の可能性もあったが、ご存じの通り秋華賞(G1)で3着に敗戦(その後、故障で戦線離脱中)。同じG1・2勝馬ならタイトルホルダーに分があるのは間違いない。

 タイトルホルダーが有馬記念を制覇すれば、すんなり年度代表馬に輝くことになりそうだが、もしタイトルホルダーが敗れれば、混沌の様相を極めるかもしれない。

 最有力候補を逆転して年度代表馬に選ばれる可能性があるとすれば、イクイノックス(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)とヴェラアズールの2頭だろう。

イクイノックス 撮影:Ruriko.I

 前者はぶっつけで臨んだ今年初戦の皐月賞(G1)でジオグリフの2着、続く日本ダービー(G1)はドウデュースの2着と惜敗が続いた。秋は菊花賞(G1)には向かわず、再びぶっつけで天皇賞・秋(G1)に挑戦。大逃げを打ったパンサラッサをゴール前で差し切ったシーンは記憶に新しい。

 もう1頭のヴェラアズールは、今年1月時点ではまだ2勝クラスの条件馬だった。ダート中距離で勝ちあぐねていたが、3月に芝路線に転向すると、才能が一気に開花。ジューンS(3勝クラス)、京都大賞典(G2)、ジャパンC(G1)と怒涛の3連勝でG1馬に上り詰めた。

 この2頭のいずれかが有馬記念を勝てば、タイトルホルダーと年度代表馬の票を奪い合う形になるのではないだろうか。仮にイクイノックスが勝てば、春のG1で2着が2回ある分、有利といえそうだ。

20年前の有馬記念と重なる足跡

 思い返せば、昨年も3歳馬のエフフォーリアが有馬記念を制して年度代表馬に輝いたように、3歳馬の受賞は決して珍しくない。1954年以降、27頭(牡馬25頭、牝馬2頭)が年度代表馬に輝いている(啓衆社賞=1954~71年、優駿賞=72~86年、JRA賞=87年~)が、イクイノックスのようにクラシックレースを勝つことなく選出されたのは過去に1例しかない。

 それが2002年のシンボリクリスエスで、その足跡はイクイノックスとやや似ている部分もある。皐月賞には出走できなかったものの、青葉賞(G2)制覇からダービー獲りに挑んだシンボリクリスエスは、タニノギムレットの強烈な末脚に屈し2着。秋は神戸新聞杯(G2)で皐月賞馬のノーリーズンを子ども扱いして勝利すると、その後は天皇賞・秋でナリタトップロードら古馬を完封。ジャパンCは3着に敗れたが、有馬記念でG1・2勝目を飾り、同じくG1を2勝したファインモーションやダービー馬のタニノギムレットを退け、99%の得票率を獲得し、年度代表馬に選出された。

 ダービー2着から天皇賞・秋と有馬記念制覇、そして年度代表馬――。イクイノックスは王者タイトルホルダーを破り、20年ぶり 2度目の珍事を起こすことができるか。その走りに注目が集まる。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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