【中山金杯(G3)展望】武豊「痛恨」の2023年幕開け…6億円アドマイヤビルゴは回避
5日、中山競馬場では中山金杯(G3)が行われる。2023年最初に行われるJRA重賞で幸先いいスタートを切るのは、果たしてどの馬か。今年の中距離路線を占う上でも重要な一戦を展望していこう。
まずは2017年の当歳セレクトセールで約6億円の値をつけたアドマイヤビルゴ(牡6歳、栗東・友道康夫厩舎)を取り上げたい。
今回は4戦ぶりの重賞となるが、近2走の充実ぶりからは勝機も十分ありそう。8か月の休み明けで3着に食い込んだ2走前のポートアイランドS(L)をステップに前走・カシオペアS(L)では逃げの手に出ると、断然人気を背負ったプログノーシスの追い込みを封じ込んで約2年ぶりの美酒を味わっている。
そんなアドマイヤビルゴにとって2023年のターゲットはもちろん重賞、そしてG1制覇だ。今回の中山金杯は景気づけに格好の舞台と思われたが、爪を痛めるまさかのアクシデント……。残念ながら、今回は回避の見込みで出直しとなってしまった。
また鞍上を務める予定だった主戦の武豊騎手にとっても痛恨だろう。元旦に更新された公式HPでは「騎手生活37年目の元旦を気持ちよく迎えることができました」と気持ちを新たにしていたが、年明け早々に思わぬ“悲報”が届いてしまった。
中山金杯は3年前にマウントゴールドで1度参戦しただけ(1番人気、12着)。同日開催の京都金杯は過去4勝している武豊騎手だが、中山金杯はとことん縁がないのだろうか。
そんなアドマイヤビルゴに代わって主役を務めそうなのは4頭の4歳馬だ。
筆頭格はマテンロウレオ(牡4歳、栗東・昆貢厩舎)。昨年のきさらぎ賞(G3)を制したが、その後は弥生賞(G2)、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)でいずれも2桁着順に終わった。
ダービー後には骨折が判明し、夏場を休養に充てた。傷が癒え、11月のアンドロメダS(L)で戦列復帰を果たすと、ディープモンスターら古馬勢を一蹴。続く中日新聞杯(G3)では好位から抜け出して一度は先頭に立ったものの、ゴール前でキラーアビリティに交わされ惜しくも2着に敗れた。それでもアイコンテーラーやプログノーシスら年長馬には堂々先着しており、今回も中心の1頭といえるだろう。
休み明けを2度使われ、気配はさらに上昇中。主戦の横山典弘騎手は京都金杯で同じ“マテンロウ軍団”のマテンロウオリオンに騎乗するため、今回は長男・横山和生騎手が騎乗する。
21年のスプリンターズS(G1)を制したピクシーナイトの半弟としてデビュー当時から注目されてきたフェーングロッテン(牡4歳、栗東・宮本博厩舎)は、距離短縮を味方に重賞2勝目を狙う。
マイル以下の短距離が主戦場の兄に対し、本馬はデビューから1800m以上を使われてきた。春のクラシックには間に合わなかったが、ダービー当日の白百合S(L)を勝利。続くラジオNIKKEI賞(G3)で重賞初Vを飾ると、古馬と初対戦の新潟記念(G3)でも3着に好走し、その実力を垣間見せた。
その後は菊花賞(G1)に出走したが、終始外々を回される厳しい競馬を強いられ15着に大敗。陣営は2000m前後がベストとみており、度外視していいだろう。得意距離で改めて出直しを誓う。
21年ホープフルS(G1)でキラーアビリティの3着に好走したラーグルフ(牡4歳、美浦・宗像義忠厩舎)も注目の1頭。皐月賞で8着に敗れた後は自己条件から再出発したが、前走・甲斐路S(3勝クラス)を完勝してオープン返り咲きを果たした。
鞍上は今回で4戦連続コンビを組む戸崎圭太騎手。昨年は3年ぶりに関東リーディングの座を奪還し、今年は7年ぶりの全国リーディングも見据える。自身が重賞初制覇に導いたモーリスの産駒で一年の計を占う。
4頭目の4歳馬はレッドランメルト(牡4歳、美浦・国枝栄厩舎)。重賞でも好走している他の3頭に比べると、これが重賞初挑戦。実績的には劣るが、3連勝中の勢いは侮れない。斤量55kgを味方に、好位から抜け出す得意のパターンに持ち込みたい。
この他には、牡馬混合のG2で4度の好走歴があるウインキートス(牝6歳、美浦・宗像義忠厩舎)、休み明けの前走・福島記念(G3)で3着に好走し、上積みが見込めるアラタ(牡6歳、美浦・和田勇介厩舎)、近走はダートで安定した走りを披露していたが、7戦ぶりの芝に臨むラーゴム(牡5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)も虎視眈々とVを狙う。
23年最初の重賞ウイナーに輝くのはハイレベルの4歳勢か、はたまた――。注目の中山金杯は5日、15時35分に発走を予定している。