「単勝1.3倍」ゴールドシップに続きガイアフォースも撃沈…注目集めた「○○フィーバー」も30年続くAJCC(G2)の負の連鎖は避けられず
どんな世界においても、その良し悪しにかかわらず、時として「流れ」というものが存在する。その中には、1日で完結するものもあれば、長年続くようなものさえある。
先週22日の中央競馬でも、午前中から密かに「ある流れ」が起こっていた。それは、川田将雅騎手が中京1Rからパーフェクト連対を記録し……もそうだが、特に目立っていたのは「芦毛馬」の活躍だ。
実はこの日、メインレースが始まる前までに芦毛馬が中山で3勝、小倉・中京でもそれぞれ1勝ずつを挙げるなど、ちょっとした「芦毛フィーバー」が巻き起こっていた。AJCC(G2)で単勝1.8倍に推された芦毛のガイアフォースにとっても、レース前から絶好の「流れ」だったといえるだろう。
しかし、結果は5着と人気を裏切る形に……。芦毛馬の好調に目を付けて、大本命馬の勝利を疑わなかったファンもいたかもしれない。
レース後には鞍上のC.ルメール騎手が「休み明けで速い脚が使えませんでした」と敗因を述べていたが、昨年には同舞台のセントライト記念(G2)を快勝しているガイアフォースだけに、少々不可解な敗戦にも映った。
30年続くAJCC(G2)の負の連鎖は避けられず
ただその一方で、長年続いているAJCCの「ある流れ」を把握していれば、ガイアフォースの凡走も事前に察知することが出来た可能性がある。というのも、過去の歴史を振り返ると、芦毛馬にとってAJCCは、鬼門ともいえるレースだからである。
近20年(2003年~2020年)でみても、同レースの芦毛馬の成績は「0-0-1-10/11」と苦戦傾向。2010年には皐月賞馬のキャプテントゥーレが1番人気で11着と大敗し、2015年にはG1を6勝したあのゴールドシップでさえ、単勝1.3倍の大本命に推されながら7着に屈した例がある。
また、芦毛馬の優勝は1993年のホワイトストーンが最後なのだから、実に30年近く負の連鎖が続いていることにもなる。一般的に「芦毛は夏に強い」といった競馬の格言もあるが、冬は苦手だったりするのだろうか。いずれにせよ、当日の芦毛フィーバーだけを見れば、今回こそ歴史を覆す絶好のチャンスだったが、長年続く“芦毛馬不振のジンクス”に跳ね返される結果となった。
かといって、そもそも芦毛馬が冬を苦手とするなら、フィーバーを論ずるのもおかしな話である。今回の芦毛馬の好走も偶然続いただけだろう。とはいえ、AJCCというレースに限っては30年もの間、結果的に芦毛馬が勝ってないという事実があったことは、来年も頭の片隅に入れておいてもよさそうだ。