シルクロードS(G3)ナムラクレア「快勝」も高松宮記念(G1)制覇は甘くない!? ロードカナロアやメイケイエールらも涙、注目すべきは「勝者」にあらず?
29日に中京競馬場で行われたシルクロードS(G3)は、2番人気のナムラクレア(牝4、栗東・長谷川浩大厩舎)が中団から差し切り勝ち。昨年のスプリンターズS(G1)5着以降、仕切り直しとなった年明け初戦で、小倉2歳S(G3)や函館スプリントS(G3)に続く重賞3勝目を挙げた。
スタート後は馬群の中に潜り込み、中団で脚を溜めたナムラクレア。最後の直線に入る際も余力は十分だった。馬場の内目からじわじわ脚を伸ばすと、ゴール手前で逃げ粘っていたマッドクールを交わし、外から迫ってきたファストフォースも退けた。
レース後には、「直線で前が空いてからは、いつも通りの瞬発力でしっかり伸びた。良く勝ってくれました」とパートナーを労った浜中俊騎手。続けて「G1と同じ舞台で結果を出せて自信になる」と、高松宮記念(G1)に向けて自信を覗かせた。
先日には2年前のスプリンターズSを制したピクシーナイトが高松宮記念を目標に調整中とのニュースが飛び込んできたが、同馬は香港スプリント(G1)以来となる1年以上の長期休養明けだけに不安が残る。
まだ阪急杯(G3)やオーシャンS(G3)が控えているとはいえ、前哨戦の一つでもあるシルクロードSを快勝したナムラクレアが、本番でも上位人気を担う可能性は高い。これまでG1では5着→3着→5着とあと一歩届いていないだけに、陣営としても初の戴冠に向け準備万端といったところだろうか。
そんなナムラクレアだが、シルクロードS勝ち馬の過去を振り返ると、少々気になる点もある。
注目すべきは「勝者」にあらず?
「シルクロードSを優勝後、高松宮記念に臨んだ近10頭の内、勝利したのはファインニードルのみです。過去には、のちにG1馬となるロードカナロア(3着)やストレイトガール(3着)をはじめ、昨年にはメイケイエール(5着)も敗れています。ですから快勝した、いやっ、快勝してしまったナムラクレアにとっては、今回の勝利は素直に喜べないかもしれません」(競馬誌ライター)
ライターが話す通り、シルクロードS勝ち馬がそのまま本番へ向かった場合、連勝する確率はそう高くはない。同日に行われた根岸S(G3)は近10頭で3頭(モーニン、ノンコノユメ、モズアスコット)もフェブラリーS(G1)の勝ち馬を出しているのだから、直結するという意味での見劣りは否めない。
「逆にシルクロードS組は、本番では敗者を狙うのが面白いかもしれません。5着から臨んだビッグアーサーこそ1番人気での勝利でしたが、セイウンコウセイは計5回挑戦しているとはいえ2着後に5番人気で勝利、15着後に12番人気で2着に好走しています。
また、降着の影響があったものの、モズスーパーフレアも4着に敗れた後に9番人気で勝利するなど、巻き返しが目立ちます。ナムラクレアは本番でも人気を集めるでしょうが、むしろ馬券的に『買い』なのはトウシンマカオやウインマーベルなどといった敗者の方かもしれないですよ」(同)
本来は快勝したナムラクレアが高松宮記念の本命候補に挙がるはずだが、過去の傾向通りなら本番では敗者の方が馬券的には妙味がありそうだ。はたしてナムラクレアは、逆風を跳ね返すことが出来るだろうか。