タニノ、ダイワ、に続いてサトノ軍団“消滅”危機にファンも反応、ダービー制覇の夢遠のく34億円債務超過?
先月下旬、ソーシャルゲーム業界のニュースを紹介する専門サイト『gamebiz』は、サトミホースカンパニーが最終損失8億円以上の赤字を計上し、34億円の債務超過となっていたことを報じた。
競馬ファンの間では「サトノ」の冠名でお馴染みの「サトミホースカンパニー」が設立されたのは2017年。代表はセガサミーホールディングス代表取締役の会長も務める里見治氏である。
里見氏が馬主としてデビューしたのは1992年。最初の10年ほどは所有馬が合計でも10数頭という小さな規模だった。1990年代後半には本業が多忙になったため、5年ほど馬を買わない時期もあったが、2005年頃から馬主業を本格化。毎年のように20頭以上の馬を購入しつづけている競馬界の大物だ。
特に2010年代に入ってからはディープインパクト産駒を中心に高額馬を次々とセリで購入。良血馬をそろえながら、「サトノはG1を勝てない」といわれる時期も長く続いたが、16年に状況が一変する。
その年はサトノダイヤモンドが牡馬クラシック路線で大活躍。ダービーこそ惜しい2着に終わったが、秋に菊花賞(G1)を制して、里見氏は待ち焦がれたG1オーナーの称号を手にした。さらに、その年の12月にはサトノクラウンで香港ヴァーズ(G1)、サトノアレスで朝日杯FS(G1)、サトノダイヤモンドで有馬記念(G1)を制覇。国内外のG1を3週連続で制する離れ業もやってのけた。
17年に「サトミホースカンパニー」を設立したのも、馬主業が軌道に乗ったからだろう。しかし、同年春にサトノアラジンが安田記念、サトノクラウンが宝塚記念を勝って以降は、再びG1勝利から遠ざかっており、徐々に大レースでサトノの冠名を目にする頻度も減っている。
サトノ軍団“消滅”危機にファンも反応
そして届いたのが今回の「サトミホースカンパニー解散」という一報。このニュースがTwitterでシェアされると、多くの競馬ファンの関心を集めた。
「あれだけ馬を買っていると、G1を勝っても赤字なのかな?」「サトノの馬はコスパ悪すぎた」など、里見氏の“爆買い”ぶりに納得する声をあげるファンがいたほか、「タニノ、ダイワに続きサトノもか」「処分はなくても縮小していく感じですかね」と、サトノ軍団の行く末を案じる声も多く聞かれた。
「ここ数年もサトノレイナスやサトノフラッグなどG1で活躍する馬もいましたが、注ぎ込んでいる額も多いですからね。一部では、サトノの消滅を危惧するコメントもありましたが、昨年のセレクトセールでも1億円超えの馬も含めて10頭ほど競り落としていましたし、今すぐに馬主業から撤退するようなことはないでしょう。
現在81歳という年齢もあり、いずれは長男の里見治紀氏(セガサミーホールディングス代表取締役社長)がその跡を継ぐかもしれません。治紀氏も数年ほど前から年間2~3頭ずつですが、自身の馬を所有しています」(競馬誌ライター)
ただ、サトノ軍団の後継と推測される治紀氏だが、購入した馬には「サトノ」ではなく、「キャル」という冠名を付けている。つまり、たとえ父から馬主業を引き継いだとしても、現在の冠名が続く保証はないというわけだ。
多くのホースマンにとって最大の目標とされる日本ダービー制覇。里見治氏も例外なく同じ夢を抱いていた1人だが、悲願達成に残された時間は決して長くないかもしれない。