キタサンブラック、ゴールドアクターも倒した「最強2勝馬」逝く…ファンから悲しみの声続々、エピファネイア産駒を出産予定の“ライバル”も注目

撮影:Ruriko.I

 先日、競走馬としても種牡馬としても大活躍を見せた名馬ハーツクライが亡くなったばかりだが、また1頭ファンに愛された馬が天国へと旅立った。『スポーツニッポン』が報じた記事によると、サウンズオブアース(父ネオユニヴァース)が大腸炎を発症し、2月13日に亡くなっていたことが分かった。12歳だった。

 現役時代に30戦2勝【2-8-1-19】という目立たない成績ながら、2着8回の内訳は7回が重賞レースでのもの。2015年の有馬記念(G1)でゴールドアクターの2着に入り、翌16年のジャパンC(G1)でもキタサンブラックの2着と善戦した。

 G1で敗れた相手にも別の重賞で先着する実力もあったが、どういうわけか勝利の二文字からは見放され続けたことも不思議な魅力のひとつだっただろう。勝ち切れないレースを繰り返す「善戦マン」に感情移入するファンが多かった理由かもしれない。

 最終的な成績に関しても、主なタイトルが当時500万下条件だった、はなみずき賞。未勝利勝ちを加えた2勝馬としては、イメージと程遠い実力の持ち主でもあった。

 かつて善戦マンといわれた先輩のステイゴールドは、2000年の目黒記念(G2)で武豊騎手と出会ってから、重賞どころかG1タイトルに手が届き、引退後に種牡馬となっても三冠馬オルフェーヴルをはじめ多数のG1馬を輩出した。似たようなタイプの2頭だが、サウンズオブアースに産駒を残すチャンスが得られなかったことは非常に残念である。

 ファンに愛された名馬が、こうして世を去ることは珍しくないものの、12歳という若さだっただけに、ネットの掲示板やSNSなどでも「最強の2勝馬」の早過ぎる死を惜しむ声で溢れた。

 一方で、同じく現役時代に「最強の2勝馬」といわれた馬の存在も触れておきたい。

カレンブーケドール

 それは、こちらも17戦2勝 【2-7-3-5】の成績ながら、G1で4度の入着を誇るカレンブーケドールのことだ。本馬も現役時代に2着7回を数えたシルバーコレクターとして知られた馬だった。現役引退後は繁殖牝馬となり、現在はエピファネイア産駒を受胎中。そろそろ初年度産駒の誕生があるのではないかと期待されている。

 勝ち切れない競馬の多かった同馬だが、実は1位を取った記録もある。オーナーの鈴木隆司氏はカレンチャンを代表に「カレン」の冠名でも有名だが、所有馬の獲得賞金ではG1馬のカレンチャンの4億4906万円 を凌ぐ、4億5805万円 でカレンブーケドールがトップなのだ。

 今後の所有馬の活躍次第で塗り替えられる可能性もあるとはいえ、G1を勝てないまま引退したカレンブーケドールにとっては、G1級の栄誉といえるのではないか。サウンズオブアースは産駒を残せないままこの世を去ったが、善戦マンのキャラクターを受け継いだ牝馬から、G1馬が登場する未来に期待したい。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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