皐月賞(G1)種牡馬としても魅力的なファントムシーフ、晩年のハービンジャー産駒に懸かる期待
晩年の産駒はよく走る。これはまことしやかに語られる競馬の格言である。
そういった意味では、こういった説もあながち間違いでもないだろう。思うような結果を残せずに、種牡馬入りして早々に引退を強いられる馬もいるからだ。優勝劣敗による淘汰の激しい生存競争を生き抜いている種牡馬だけに、走る馬を出す確率も高いということだろう。
また、国内トップクラスの種牡馬を揃える社台スタリオンステーションでも、10年以上繋養されている種牡馬は僅か4頭。結果を残し続けることが如何に難しいかを物語っている。
実際、スーパーサイアーと呼ばれたサンデーサイレンスやディープインパクト、トニービンなども12〜13世代の輩出で、ブライアンズタイムのように15世代以上残せる馬は非常に稀有な例だ。そう考えると10世代目以降においては、晩年に差し掛かっているといってもいいのではないだろうか。
これを基に考えた場合、今年のクラシックで晩年の産駒を送り出す1頭がハービンジャーだ。2011年から種牡馬として供用された本馬は10年以上に渡り、産駒を輩出し続けている。G1を勝利するような馬も複数出しており、名種牡馬といえるだろう。
現在の日本競馬においては、キングカメハメハやサンデーサイレンスの名前が血統に含まれているケースが非常に多いため、いずれの血も含まないハービンジャー産駒がクラシックを制覇すれば、配合相手としても魅力的な存在となるはずだ。
そのハービンジャー産駒で今年のクラシック有力候補と目されているのが、2月の共同通信杯(G3)を制したファントムシーフである。昨年のホープフルS(G1)は、2番人気の支持を受けたが、このときはスタートの出遅れも影響して不完全燃焼の4着。好メンバーの揃った前走で巻き返しに成功しただけに、皐月賞(G1)でも上位人気に支持される可能性が高そうだ。
G1勝利の実績を持ちながら、種牡馬入りの叶わなかったブラストワンピースは母父にキングカメハメハ、ペルシアンナイトは母父にサンデーサイレンスが入っていたことが、少なからず影響したとも考えられる。
もしファントムシーフがクラシックを勝つようなら、父と同じく超大物2頭の血を持たない本馬の種牡馬入りも現実味を帯びてくるはずだ。晩年のハービンジャー産駒の大物候補としても期待したくなる1頭だ。