「ダイワ」で知られる名門の2世がロケットスタートに成功!快進撃の裏に堀宣行厩舎と疎遠になったアノ騎手の存在
昨年は、まだまだ現役トップクラスの成績を残していた福永祐一騎手の調教師転身が話題となった。関係者の人望も厚く、成功をほぼ確実視される有望株だが、厩舎開業までの1年間は、技術調教師という立場で準備を進めることになる。
その福永調教師より一足先に3月1日から4名の調教師が厩舎を開業した。その内訳は栗東が緒方努、小栗実、西園翔太の3名、美浦は上原佑紀の1名という顔触れ。西高東低の傾向が長く続いている競馬界だが、関東の上原佑調教師が2勝を挙げるロケットスタートを決めたことは、関係者から大きな注目を集めた。
上原佑師は、その名前からも察しがつくように、父はダイワメジャーなどを育てた関東の上原博之調教師だ。調教師試験には3度目の受験で合格し、当時は平成生まれ初の調教師としても話題となっていた。
その一方で、現場のトラックマンや記者から「成功間違いなし」と出世を確実視されていた人物でもある。
学生時代に日本大学で獣医学を学ぶなど、競走馬に対する基礎知識もしっかりと身につけた上に、イギリスでも研修を積むなど広い視野で動いていた様子。調教師試験合格後は他陣営とドバイに同行した。こういった研究熱心な姿勢も、関係者から一目置かれている理由のひとつといえるだろう。
「懇意にしている馬主の顔触れも幅が広いです。社台ファームやノーザンファームのクラブ馬を筆頭に、ノースヒルズや『バローズ』の冠名で知られる猪熊広次氏など有力な個人馬主の所有馬を管理しています。順調にいけば将来は関東のリーディングを争う厩舎になるのでは」(競馬記者)
また、3月に挙げた2勝が石橋脩騎手とのコンビだったことも、上原佑厩舎の特徴といえるかもしれない。
こちらについては、師が堀宣行厩舎で調教助手を務めていた当時、石橋騎手と共に汗を流し、お互いに技術を認め合う間柄だったことが関係しているようだ。同騎手は堀厩舎と強い繋がりがあったものの、最近は松山弘平騎手の起用が目立つように、両者の関係に変化もあった。
その影響もあってか、石橋騎手の成績も低迷。2月までわずか1勝とスランプに陥っていたのだが、上原佑厩舎の開業と歩調を合わせるかのように、成績も復調しつつある。堀厩舎という強力な後ろ盾を失った石橋騎手にとっても、上原佑厩舎の開業は救世主のような役割を担うことになりそうだ。
また上原佑厩舎にとっても、石橋騎手はかつてドゥラメンテやサリオスなど、多くの名馬の背中を知っている騎手であり、お互いに関東の名門で技術を磨き合った仲だけに気心も知れている。今後は新米厩舎の屋台骨を支える存在としても頼りにされるのではないか。