香港クイーンエリザベス2世C挑戦のプログノーシス「川田不在」で浮上する鞍上問題
先月31日、今週末の大阪杯(G1)を回避したプログノーシス(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)が登録していた香港のクイーンエリザベス2世C(G1)に向かうことがわかった。本馬が所属する社台サラブレッドクラブが発表している。
3月に行われた前哨戦の金鯱賞(G2)で1番人気に応えて重賞初制覇を飾り、大阪杯の最有力候補にも名が挙がっていたプログノーシス。しかし、右後肢の疲れから大阪杯を回避することに。幸い症状は軽く、すでに栗東の坂路で追い切りを開始しているが、正式な招待が叶えば次走はキャリア初の海外遠征になりそうだ。
出走が叶えば先日のドバイワールドカップデーに続く吉報を期待できるだけの大器だが、注目は「鞍上」を誰が務めるかということだろう。
プログノーシスの主戦といえば、ここまで騎乗機会5戦5勝の川田将雅騎手で間違いない。しかし、川田騎手は先日、ボルドグフーシュとのコンビで30日の天皇賞・春(G1)に向かうことが発表されたばかり。同日に行われるクイーンエリザベス2世Cに参戦することは不可能だ。
「川田騎手不在」で浮上する鞍上問題
そのためプログノーシス陣営は、川田騎手の代役を立てる必要がある。海外G1を狙える有力馬だけに本来なら引く手あまたのはずだが、意外になかなか難しい問題になるかもしれない。
「プログノーシスは主戦の川田騎手が騎乗した際は5戦5勝である一方、他の騎手が騎乗した際は3戦0勝と乗り難しい面があるそうです。陣営にとって、川田騎手が騎乗できないのは小さくはない不安になるかもしれません」(競馬記者)
実際に、川田騎手が天皇賞・秋(G1)で騎乗するため岩田望来騎手が騎乗した昨年のカシオペアS(L)では、単勝1.5倍の圧倒的な1番人気に支持されたが2着。上がり3ハロン最速の末脚で追い上げたものの最後の直線で馬群を捌くのに手間取り、武豊騎手のアドマイヤビルゴにまんまと逃げ切られている。レース後に岩田望騎手が「道中は力んでいた」と振り返っている通り、折り合い面に課題があるようだ。
また、続く中日新聞杯(G3)では香港に遠征予定だった川田騎手に新型コロナウイルスの陽性反応が出てしまったことで急遽、藤岡佑介騎手が代役に。3着に敗れた3歳春の毎日杯(G3)以来、2度目のコンビ結成となったが、結果は1番人気を大きく裏切る4着だった。
レース後、藤岡佑騎手が「よく脚は使ってくれていますが、(勝ち馬と)僅差でも4着なので申し訳ないです」と頭を下げていたが、SNSや掲示板などでは「川田騎手だったら……」と主戦不在を惜しむ声が相次いだ経緯がある。
「乗り難しいといわれる馬だけに、代役の手配には気を使うでしょうね。まだ出走馬が完全に固まったわけではないので流動的ですが、仮に現地のジョッキーならJ.モレイラ騎手やC.ホー騎手といった、日本でも実績のあるトップジョッキーが確保できれば理想的かもしれません。同日に天皇賞・春があることもあって、日本のトップジョッキーの確保は難しいと思いますね」(同)
そんな中、一部のファンからコンビ結成の期待の声が上がっているのが現状、天皇賞・春での騎乗予定馬が決定していない武豊騎手だ。
言わずと知れた日本一国際経験豊富なレジェンドジョッキーだが、最近は桜花賞(G1)で有力視されているライトクオンタムの鞍上を任されるなど、プログノーシスが所属する社台レースホースとの関係が深まっている。
中内田厩舎の管理馬に騎乗したのは昨夏まで遡るが、オーナーサイドの“鶴の一声”でウルトラCが実現すれば、さらに注目度が上がりそうだ。