頼みの横山武史はG1で21連敗、皐月賞(G1)に課題山積み…ソールオリエンスに「不安材料」が続出?

 リバティアイランドがライバルにモノの違いを見せつけた桜花賞(G1)が終わり、今週は牡馬クラシック初戦の皐月賞(G1)が中山競馬場で開催される。断然ムードの色濃かった桜花賞と異なり、こちらはどの馬が勝っても不思議ではないほどの混戦模様。G1馬不在のどんぐりの背比べから抜け出すのはどの馬だろうか。

 最終的な1番人気は不明なものの、『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズによると、11日現在でソールオリエンスとファントムシーフの2頭が、他馬を少し離して人気の様子。前者は京成杯(G3)、後者は共同通信杯(G3)を制した重賞勝ち馬だが、臨戦過程についてはファントムシーフが優勢といえそうだ。

 というのも、過去10年の皐月賞馬で前走が共同通信杯だった馬が5頭いるのに対し、前走が京成杯だった馬はゼロ。同じく中山芝2000mの弥生賞ディープインパクト記念(G2)組も、2着5回はあるものの未勝利。本番と同じ条件で争われる割に相性はよくない印象である。もしかしたら他のライバル以上に厄介なデータとなるかもしれない。

 確かに京成杯を優勝したソールオリエンス(牡3、美浦・手塚貴久厩舎)のレースぶりには、陣営からも賛辞のオンパレードだった。

横山武史騎手 撮影:Ruriko.I

 手綱を取った横山武史騎手がレース後に「馬はかなり能力を持っています」「改めて強い馬だと認識できました」「期待していい馬だと思います」と絶賛。管理する手塚師も「力があることを再認識しました」「次はもっと良くなるでしょう」と自信を隠さなかった。

 その一方で、苦戦続きの京成杯組というだけでなく、数字の上でもあまり強調できない側面も見つかった。

ソールオリエンスに「不安材料」が続出?

 このレースでソールオリエンスは、前半1000m通過が62秒2のスローペースを5番手から抜け出し、2着馬に2馬身半の差をつけて圧勝したのだが、ここで注目したいのは京成杯における2分2秒2(良)の勝ちタイムだ。

 世代レベルを推し量る際、同条件で行われた古馬の特別戦の勝ちタイムと比較することはよくあるが、このタイムは今年ここまで行われた良馬場の中山芝2000mで最も遅かったのだ。

 重賞の中山金杯(G3)の2分0秒2や弥生賞の2分0秒4から2秒近く後れを取った上に、翌週に開催された初富士S(3勝クラス)の2分1秒0にも見劣った。しかも初富士Sの場合は良でもなく稍重で1秒2も速かったのだから深刻だ。

 また、京成杯2着のオメガリッチマンは、次走の毎日杯(G3)で6着に完敗。1番人気で3着に敗れたセブンマジシャンは、再度1番人気に支持されたスプリングS(G2)でベラジオオペラに完敗をしている。これらを考えると、ソールオリエンスが京成杯で圧勝していたとはいえ、レースレベルや勝ちタイムを疑問視する声が出たとしても仕方がない。

 頼みの綱である横山武騎手にしても、G1に限ると2年前のホープフルS(G1)をキラーアビリティで制したのを最後に現在21連敗中。エフフォーリアの快進撃と共にブレイクした若武者だが、パートナーのスランプに合わせるが如く、大舞台での勝負強さは鳴りを潜めている。

 そのエフフォーリアの妹ペリファーニアとコンビを組んだ桜花賞で3着と十分な見せ場を作った。絶大な信頼を寄せた相棒の妹での善戦が、勝負強さを取り戻すきっかけとなればいいのだが……。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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