川田将雅やC.ルメールの陰で続く低迷、かつて武豊も経験した危機がノーザンファーム系有力騎手を直撃

撮影:Ruriko.I

 先週の桜花賞(G1)は、強烈な末脚を披露したリバティアイランドが優勝。圧倒的1番人気に応えて牝馬クラシック一冠目を手にした。

 本レースでは1着から5着までをノーザンファーム生産馬が独占し、その層の厚さを見せつける結果となった。また、それらの鞍上にはリーディング上位の川田将雅騎手、横山武史騎手、C.ルメール騎手らが名を揃えていた。

 現在の日本競馬界はノーザンF一強ともいえる構図が続いており、騎手の世界においてもノーザンF生産の有力馬に騎乗することが、イコール良い成績を残すための条件となっている。

 実際に、今年の騎手リーディング1位の川田騎手は関西で、2位のルメール騎手は関東でノーザンFのファーストドライバーを務めており、両者ともノーザンF生産馬で数多くの勝鞍をあげている。

北村友一騎手 撮影:Ruriko.I

 一方で、ノーザンFの有力馬を多数任されていたものの、成績が伸び悩む騎手もいる。それは、かつてセカンドドライバーの一人に数えられていた北村友一騎手だ。

 同騎手は、これまで川田騎手、福永祐一元騎手とともに関西のノーザンF主戦騎手として活躍していた。2018年から20年まではノーザンF生産馬で767レースに騎乗しており、これはルメール騎手に次ぐ2番目に多い騎乗数であった。その中で106勝を挙げ、レシステンシア、クロノジェネシスなどでG1レースも制した。

 しかし、21年5月の落馬事故による大怪我は、北村友騎手にとって大きな誤算となったはずだ。怪我の影響で長期離脱を余儀なくされた結果、22年6月に復帰するも、その後は思うような成績をあげられず、今年はわずか3勝でリーディング66位。復帰以降は重賞制覇もできていない。

 その原因のひとつとして考えられるのが、ノーザンFの有力馬への騎乗機会の減少である。

 今年に入って北村友騎手は、ノーザンF生産馬に計40レース騎乗しているが未勝利。1番人気の騎乗数も2レースと少なく、騎乗したとしても以前に比べて人気薄が増えている印象だ。

 同騎手の長期離脱中には、横山武騎手や坂井瑠星騎手などが頭角を現し、両騎手はノーザンFのセカンドドライバーとしての地位を確立しつつある。その煽りを受けるようなかたちで、北村友騎手に有力馬が回らなくなったともいえそうだ。

 また、負傷をきっかけに成績が伸び悩んだケースといえば、以前の武豊騎手にも同じことがいえるかもしれない。

武豊騎手

 先々週の大阪杯(G1)を制するなど、54歳になった今でも第一線で活躍する武豊騎手だが、10年ほど前には大怪我による離脱から大きく成績を落としていた。

 10年3月の毎日杯(G3)で落馬し、8月に復帰するもなかなか勝ち星を量産できない時期が続いた。年間100勝以上は当たり前、200勝も挙げていた天才騎手が11年に64勝、12年には56勝と長期の低迷に苦しんだ。

 社台FやノーザンFの有力馬で短期免許の外国人騎手に乗り替わるシーンも目立ち、あの武豊騎手でさえ、馬質が低下すると勝てなくなるというシビアな現実が浮き彫りとなった。

 かといって、結果を残して関係者からの信頼を取り戻すことに成功できれば、復活も可能であることを証明してみせたのも武豊騎手だ。

 13年にキズナで日本ダービー(G1)を制し、「僕は帰ってきました」の名言は、あまりにも有名だ。そこから10年経った今でもトップジョッキーの一人として存在感を示している。この背景には、レジェンドが苦しんだ期間も騎乗依頼を続けてくれた個人オーナーや、武豊騎手を全面的にバックアップするキーファーズの松島正昭氏の存在もあっただろう。

 北村友騎手も1鞍1鞍を大事にして関係者からの信頼を勝ち取っていけば、いつかはチャンスが巡ってくるはずだ。現在は決して好調とは言えない状況だが、再び大舞台で活躍してくれることに期待したい。

GJ 編集部

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