桜花賞より速い「謎の暴走」で1番人気ユリーシャ11着大敗…松山弘平「セーフティリードを取るレースを」も疑問の声

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 15日、雨中の阪神競馬場で行われたアーリントンC(G3)は、5番人気のオオバンブルマイ(牡3歳、栗東・吉村圭司厩舎)が勝利。京王杯2歳S(G2)に次ぐ重賞2勝目をゲットし、5月のNHKマイルC(G1)の有力候補に挙がった。

 1400mの京王杯2歳Sを好位から抜け出して勝利するなど、卓越したスピードが武器のオオバンブルマイだが、前走の朝日杯フューチュリティS(G1)では「母系がスプリント血統」(吉村調教師)ということもあって1600mの壁に泣いて7着。

 それだけにこの日はじっくりと中団から脚を溜める競馬となったが、レース後に武豊騎手が「外に出してギアが上がったときには届くと思いました」と振り返った通りの切れ味。新たな戦法を引き出して1600mにメドが立ったことで、春のマイル王決定戦に大きな弾みがつく内容となった。

 その一方で、牝馬ながらに1番人気に支持されたものの11着に大敗してしまったのがユリーシャ(牝3歳、栗東・中村直也厩舎)だ。

松山弘平騎手 撮影:Ruriko.I

『中日スポーツ』で自身が連載しているコラムで「大きなポイント」と語っていたスタートを決めたユリーシャと松山弘平騎手。「これまでの成績からも、逃げる形が理想」との言葉通り、果敢にハナに立ったが後続を大きく引き離す形になった。

 そこからユリーシャは「後続に8馬身差をつけて」と、マイル戦ではあまり耳にしないアナウンスと共に、松山騎手が4コーナーで早くも後続を振り返るほどの大逃げ。このまま逃げ切れば、サイレンススズカやパンサラッサが引き合いに出されてもおかしくないほどの逃げっぷりだったが、最後の直線で大きく失速……。

 早々に馬群に飲み込まれてしまい、11着に大敗した。

「ヨーイドンでは苦しいので」も疑問の声

「ちょっと、らしくないレースになってしまいました。好スタートを決めるまでは良かったのですが、内からショーモン、外からセッションもハナを主張して挟まれるような形になってしまいました。その2頭を振り切るように先頭に立ちましたが、結果的にあれで馬がエキサイトしてしまったのかもしれません。

松山騎手曰く『同じところからのヨーイドンでは苦しいので、セーフティリードを取るレースをした』とのことですが、800m通過45.8秒は先週に同コースで行われた桜花賞よりも速いペース。時計上はわずか0.1秒速いだけですが、桜花賞は良馬場でこのレースは重馬場です。速過ぎたというか、これはさすがにオーバーペースだったと言わざるを得ません」(競馬記者)

 この結果に、SNSやネット上の掲示板では「さすがに意味が分からない」「距離間違えたわけじゃないよね?」「これは完全に暴走では」と松山騎手の騎乗に疑問の声が続々……。中には「もう次は乗らないでほしい」といった厳しい声もあった。

 これまでウオッカやデアリングタクトといった名牝が勝ち馬に名を連ねているエルフィンS(L)を逃げ切っているユリーシャ。しかし、今年の桜花賞(G1)は阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)2着馬のシンリョクカさえ除外危機にあったほどの高い賞金ボーダーとなり、泣く泣くこのレースに回った経緯があった。

 単純な比較はできないが、桜花賞でリバティアイランドと3/4馬身差の接戦だったコナコーストに対して、エルフィンSでユリーシャは2馬身半差の快勝。今回は牡馬相手のレースだったが、1番人気に支持されるだけの期待はあったということなのだろう。

「男馬相手によく頑張ってくれました」

 レース後、そう相棒を庇った松山騎手だが、同じく好スタートを決めてユリーシャについて行かなかったセッションとショーモンが2、3着というのは、なんとも皮肉な結果だ。切れ味勝負を避けた作戦だったようだが、今回ばかりは裏目に出てしまったのかもしれない。

GJ 編集部

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