大本命を裏切ったD.レーンにリベンジのチャンス到来!? 無敗の皐月賞馬で敗れた「苦い記憶」から4年、妹と挑む負けられない一戦
今週から開幕する春の東京開催。23日にはオークストライアルのフローラS(G2)が行われる。本番への優先出走権2枚を懸けた熱い戦いが繰り広げられそうだ。
上位人気が濃厚と見られるドゥムーランは、コンビを組むD.レーン騎手も楽しみにしている素質馬であり、勝ち負けの手応えを感じていたようだが、同日4Rの未勝利戦(3歳)に出走を予定しているテンペスト(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)も気になっているはずだ。
本馬は、2005年のオークス(G1)を制した名牝シーザリオを母に持ち、ロードカナロア産駒という超良血。血統的に察しがつくように、2019年の皐月賞馬サートゥルナーリアの全妹にあたる。また半兄にもG1馬のエピファネイアやリオンディーズがいるなど、競馬ファンの間ではもはや説明不要と言っていいほどの期待馬である。
もともと昨年12月中山のマイル戦でデビューを予定していたが、左前球節に腫れが出たことで出走を取り消し。1月に仕切り直しの初戦を迎えたものの、単勝1.6倍の期待に応えられず、アタマ差の2着に敗れてしまった。
管理する国枝師も「ここは勝っておきたかった」と悔やんだ一戦は、スタートで後手を踏んだ上に、前半3ハロン通過が37秒3の超スローになってしまったのも痛かった。クラシックでの活躍を嘱望される存在だっただけに、陣営としても落とせない一戦だったに違いない。
ただ、直線で繰り出した33秒1の末脚は、レースの上がり3ハロンを1秒以上も上回ったように目を見張るものがあった。G1馬の兄たちと比べるのはまだまだ早いが、将来性を感じる素質馬であることは間違いなさそうだ。
今回はその惜敗した初陣以来、約3ヶ月ぶりの実戦になる。母娘でオークス制覇は時期的に厳しくなったと言わざるを得ないが、秋の大舞台へ繋げるためにも、ここは確実に勝っておきたいところだろう。
また、横山武史騎手からバトンを受け継いだレーン騎手にとっても、ここは力の入る一戦になる。
いまや日本でもすっかりおなじみとなった同騎手は、今年も先週から短期免許で乗り始めると、土日でいきなり6勝をマーク。その存在ぶりを遺憾なく発揮しているが、テンペストの兄サートゥルナーリアと挑んだ2019年の日本ダービー(G1)では、騎乗停止中のC.ルメール騎手に代わって鞍上を任されながら、レースでは単勝1.6倍の圧倒的な支持を受けたものの、4着に敗れた苦い記憶がある。
当時25歳だったオーストラリアの名手は、初来日の2日後に重賞を制覇。その後もノームコアでヴィクトリアマイル(G1)を制する活躍を見せたが、無敗の皐月賞馬とのコンビでは、スタートの出遅れも響き、満足な騎乗をすることが出来なかった。
その後、再びサートゥルナーリアに跨ることは叶わなかったが、今回は幸運にも全妹であるテンペストに騎乗する機会が巡ってきた。レースこそ違うものの、兄と同じく圧倒的1番人気になることも予想されるだけに、ここで1着を取って4年前の借りを少しでも返したいだろう。
4年前のダービーと同じ轍を踏まないためにも、まずはゲートをきっちりと決めたいところだ。