D.レーン×サートゥルナーリア全妹「ドン詰まり」で万事休す…稀代の名繁殖牝馬「あのイメージ」がより拍車か

 23日、東京4Rに行われた3歳未勝利は、好位から抜け出した6番人気キャリーハピネスがクビ差で優勝。鞍上の石橋脩騎手はレース後、「2着馬が来たらまた頑張ってくれました」と勝負根性を褒め称えた。

 6番人気に甘んじていたが、ここまで4戦はいずれも稍重以上の重馬場。良馬場になって本領発揮ということだろう。母方の祖母にG1・3勝のファレノプシスを持つ同馬は、近親に日本ダービー馬のキズナなども名を連ねる良血。また母父は菊花賞(G1)に無類の好相性を誇る種牡馬ダンスインザダークである。夏以降を展望する上でも、まずはこの時期に1勝を挙げられたのは大きそうだ。

 一方、注目を集めていた皐月賞馬サートゥルナーリアの全妹テンペスト(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)とD.レーン騎手のコンビは、単勝1.3倍に推されたものの直線で進路取りに手間取り3着に敗れている。

 昨年12月の新馬を左前肢ハ行で取り消した期待の良血は、仕切り直しのデビュー戦となった前走も出遅れが響いて2着に惜敗。その後は放牧に出されたが、今月上旬に帰厩すると坂路で古馬相手に併入するなど順調な仕上がりを見せていた。

 また2019年の日本ダービー(G1)で兄サートゥルナーリアに騎乗して4着に敗れていたレーン騎手にしても、全妹に騎乗する今回は4年前の借りをいくらか返せるチャンスだったといえるだろう。

 前走で掲示板の5着以内に入っている馬が本馬を含めて2頭のみという低調なメンバー構成だったこともあり、ここは人馬にとって負けられない一戦だった。

「ドン詰まり」で万事休す…

 16頭立て芝1800mのレース。テンペストは前走で遅れたゲートも無難に決めると、最内枠だったこともあって道中は6、7番手のインコースを進む。前半の1000m通過が61秒5という緩めの流れを考えると悪くない位置取りだったといえる。

 だが最後の直線に入ると、その最内枠が裏目に出てしまい、先行馬が前で壁になる“ドン詰まり”の状況に陥ってしまう。ラスト200m付近でようやく内ラチ沿いに進路を確保したものの、3着に上がるのが精一杯だった。

「課題のスタートこそ上手に出られたのですが、今日のところは1枠1番がアダとなってしまいました。断トツの人気を背負っていただけに他馬からのマークもより厳しかったと思われます。

ただ、最後の直線はほとんど追えなかったにもかかわらず、上がり3ハロンはメンバー中2位をマークしており、地力は間違いないと思います。それだけに2戦連続で取りこぼしてしまったのは陣営にとっても痛かったでしょうね」(競馬誌ライター)

 レース後のSNSやネット掲示板などにはレーン騎手に対し、「もう少し何とかならなかったのか」などのコメントが寄せられた。同騎手は1つ前の3Rでも単勝1.4倍のアサクサヴィーナスで9着に敗れていただけに、厳しい声が飛んだのも無理はないか。

 また中には「やっぱりシーザリオ産駒の牝馬は厳しいのかな」などの声も上がっていた。

 テンペストの母であり、現役時代に日米のオークス(G1)を制したシーザリオは、繁殖入り後も産駒たちが大活躍。先述したサートゥルナーリアにエピファネイア、リオンディーズと3頭のG1ホースを輩出。重賞は計9勝している。

 ただ、この数字はすべて牡馬の産駒で挙げたものであり、牝馬では1つも重賞を勝てていない。そのため一部ファンの間では「シーザリオの仔は牡馬しか走らない」などとも囁かれているようだ。

「今回テンペストが敗れてしまったことで、そのイメージにより拍車を掛けることとなってしまったかもしれませんね。シーザリオは既に他界しており、テンペストがラストクロップとなるだけに、なんとか頑張ってほしいところなのですが」(同)

 またしても初勝利は挙げられなかったが、今回も最後の直線で進路がなかったなど、敗因はそれなりにはっきりしている。次こそはスムーズなレース運びから能力全開に期待したい。

GJ 編集部

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